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人類のグローバリゼーションをたどる

最先端の遺伝子学が解き明かした成果

  • 松島 駿二郎

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2009年5月8日(金)

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 我らホモサピエンスは、いかにして先祖の地アフリカを出立して、地球上に広く拡散していったのだろうか。最先端遺伝子学が説き明かすドラマチックな冒険史。

◇   ◇   ◇

グローバリゼーション 人類5万年のドラマ上・下 ナヤン・チャンダ著 友田錫・滝上広水共訳 NTT出版 上巻2600円(税別)、下巻2400円(税別)

 インド出身の著者のグローバリズムへの観点は独特で、長大な本書の中にはハイパー・コネクテッド・ワールドという著者独特の概念が記されている。この言葉を文字通りに訳すと「超結合世界」となる。

「ドゥニャイゼーション」と呼ばれた

 本書の独特さは人類の歴史の始まり、1000人(200人という説もある)ほどのホモサピエンスが、アフリカの密林を後にした、ちょうどその時、グローバリズムが始まったとする点にある。

 昔、ドゥニャという村があった。ちょうど、密林が切れて草原に接するところに、その村があった。ドゥニャは豊かな村だったが、ある時、気候が大きく変わって、日照りが続き、乾燥が進んだ。ドゥニャの人々が通常、食肉にしていた動物がはるか北に向かって移動を始めた。ドゥニャ人も動物を追って北へ向かった。

 数千世代(数万年)の時がたち、ドゥニャを出発した人類は、いくつものグループに分かれ、地球上に広がっていった。ドゥニャ人は誰もが魔法の箱を持っていて、その箱のお告げを大切にしていた。ドゥニャ人が地球の隅々まで広がった時、魔法の箱はお告げを出した。

 「今後ドゥニャ人が広がり定住した先で交流を始めるであろう。ドゥニャイゼーションと呼ぶ」

 ドゥニャとは西アフリカの部族語で、「世界」を意味するという。もう、お分かりだろう。ドゥニャイゼーションとは、グローバリゼーションのことである。

 ダーウィンは『人間の進化と性淘汰』の中で、

 「アフリカは人間にもっとも近い動物、ゴリラやチンパンジーが棲息している所なので、私たちの祖先がアフリカ大陸に住んでいたという蓋然性は、他のどこよりも大きい」

 と先見的に述べている。

 その後、20世紀の中頃、細胞の深部を覗き込んで、そこに記録されている歴史を解読できるようになった。ワトソンとクリックの遺伝子の二重らせん構造の解明である。

 今や、我々は先祖がアフリカを出て、そこから地球上に拡散したことを信じている。「出アフリカ」の物語は、人類にとっての創世記となった。

 人類50億人のすべてが、たった2人の父親と母親から生まれたことも、細胞内のミトコンドリアの解析から分かっている。ミトコンドリアは驚異の物質だ。

 アラン・ウィルソンとレベッカ・カンは、世界中の医院から、胎盤の標本を譲り受け、そのミトコンドリアDNAを追跡調査した。このDNAをm-DNAと呼ぶ。m-DNAは世代を継いでも、一定の割合で突然変異を起こすものの、ほとんど変化しない。

 m-DNAは母系のみに遺伝する。m-DNAは過去の突然変異の情報をそのまま受け継いでいる。m-DNAの突然変異の痕跡をたどると、母系系統の起源を知ることができる。ウィルソンとカンは、世界の離れた地域のm-DNAをたどることで、1人の女性に収束することを明らかにした。この女性が「アフリカのイヴ」だ。

 今や、m-DNAの精密な解析により「アフリカのイヴ」は7人の娘にm-DNAを伝えたことが分かっている。この7人には、遺伝学者によって名前がつけられている。

 アースラ、ジニア、ヘレナ、ヴェルダ、カトリン、タラ、ジャスミンの7人だ。本書はその一人ひとりにまで踏み込まない。

 このような遺伝的背景にして、本書は急速に実現するグローバリゼーションの未来を占っている。著者は近未来の姿として、超結合世界(ハイパー・コネクテッド・ワールド)を提唱する。

 情報の緊密化によって超結合社会は、今後数世紀固く固まり続けるだろう、と著者は予告する。

 それまで、もしそれまで人類が生き続けられたら、という条件をつけて考えなくてはならない。

 すでにインターネットを通じて我らは超結合しているのは確かだ。

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