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自殺とは、社会的に『強いられる死』である
~この異常事態、放置していいのか

  • 澁川 祐子

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2009年5月13日(水)

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強いられる死 自殺者三万人超の実相』 斎藤貴男著、角川学芸出版、1500円(税抜き)

 日本での年間自殺者数は10年連続で3万人を超えている。警察庁の統計資料をみると、1978年から97年までの20年間は、年間2万~2万5000人前後で推移してきた。だが98年に3万人を突破して以来、3万人を割ったことがない。2008年の自殺者数は3万2249人に達する。これは、同年の交通事故による死亡者数5155人と比べると、実に6倍以上もの数字である。

 昨年末からの経済の落ち込みを鑑みるにこの先、自ら命を絶つ人の数が減っていくとは到底思えない。しかもここ最近、自殺者の増加を肌で感じるようになった。「人身事故」の多さである。

 人身事故の原因は多くがホームや踏み切りからの飛び込み自殺だという。私は仕事柄、通勤電車にはほとんど乗らない。電車に乗らない日も週のうち1日や2日ある。そんな出不精な私でもここのところ、月に1度くらいは必ず「人身事故のため電車が遅れております」というアナウンスを耳にしている。以前はそれほど多くはなかったと記憶しているが、最近は「またか」と思ってしまうくらいだ。よくよく考えると、これはかなり異常な事態なのではないか。

「働く人々の自殺」の共通項

 本書は自殺増加の実態を明らかにすべく、自殺の名所や自殺未遂者、自殺で家族を失った遺族、自殺予防の活動を続ける人々を取材してまとめたものだ。著者は、これまで社会、経済、教育といったあらゆる分野において、権力ある者に対し牙を剥いてきたジャーナリストである。だが本書に関していえば、いつもの著者ならではの鼻息の荒さはやや陰をひそめている。

 それもそのはず、著者はあとがきで〈仕事を引き受けたことをこれほど後悔したのは初めてだった〉と告白している。

〈自殺した人の遺族に取材した経験がないわけではなかったし、対象にのめり込むタイプでもないので大丈夫だと判断して了解したのが、ややあって実際に取り組み始めたら、苦しくてたまらなくなった。(中略)そんなふうだったせいもあり、取り上げるつもりで叶わなかった分野がいくつも残った。高齢者の孤独に耐えかねての自殺や、就職あるいは結婚で差別された人々の自殺、外国人労働者の自殺などだが、第七章までを書いたところで力尽きた〉

 畢竟、本書は「働く人々の自殺」に絞られている。いじめ自殺など、若年層の自殺にもふれてはいるが、20代後半~60代くらいまでが主だ。過労やパワハラによる自殺、多重債務を抱えた末の自殺、経営に行き詰まった中小企業経営者の自殺。郵政民営化にともなって郵便局員の間で自殺が増えたことや、自衛隊で自殺が多発している実態など、本書で初めて知った事実も多い。

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