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大量失業者を出した廃藩置県

セーフティーネットなしの「えらいことでした」

  • 松島 駿二郎

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2009年5月15日(金)

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 金融危機に次ぐ不況の影響は、雇用者を容赦なく襲っている。“派遣切り”、内定取り消し、ワークシェアリング、そして解雇――。労働者が置かれる立場は厳しく、不透明だ。日本にはかつて、失業者を大量に生み出した時代があった。140年前のことである。

◇   ◇   ◇

幕末史』半藤一利著 新潮社 1800円(税別)

幕末史』半藤一利著

 『昭和史』全2巻で評判を取った著者の幕末版。

 幕末史はまさに星の数ほど刊行されてきた。いずれの幕末史も、薩長官軍の側から綴ったもので、薩長以外はすべて賊軍という偏見甚だしいものが多い。薩長以外の視点で明治維新を眺めるとどのように見えるのか。例によって読みやすい講談調というか、寺子屋調で複雑怪奇な幕末の人間模様を講釈する。

 まともに読んだら頭が痛くなること必定の漢語交じりの重要文献が多用引用されるが、講談調の訳がついているので、500ページ近い大部の書もあっという間に読み進むことができた。

 そもそも、維新という言葉がおかしい。大政奉還、五箇条の誓文、版籍奉還、廃藩置県といった、革命的な大事件に際しても、誰一人「維新」という言葉を使っていない。

250年続いた会社がある日突然消滅し、全員が失業した

 「維新」でなければ何なのだ。それはちょっとした暴力を伴った革命なのだ。旧来の幕藩体制をぶち壊す御一新とは、革命以外の何物でもない。幕府の将軍や、京都の天皇、老中、お公家さんたち、地方の雄藩らが、それぞれの思惑を露骨に示して暗躍し、テロリズムも横行した。

 革命的な施策の中でとりわけ強烈なのが廃藩置県である。各藩は一定の自治を与えられて、藩士たちを養ってきた。ご家人もいれば足軽まで、全部が雇い人である。各藩は大藩、小藩に関わらず、“社長”は一通の勅令によって、馘首された。

 この時日本全国には261の藩があった。新政府の平等の精神によって、いかなる例外もなく藩主の首が飛んだ。藩士たちは家族もろとも、無禄のまま放り出される。およそ250年続いてきた会社が、ある日突然消滅し、全員が失業したのと同じことだ。

 明治新政府は、セーフティーネットなしに、勝利者も敗北者も一緒くたにして、御一新という荒波にさらしてしまう。失業士族たちは、安寧の生活から一直線に喰うに困る貧窮の境遇に真っ逆様に落とされた。

 司馬遼太郎は明治4年の廃藩置県を、革命だとして、

 「えらいことでした」

 と述べている。著者もそこで尻馬に乗って、

 「まったくえらいこっちゃなことでした」

 この「えらいこっちゃ」の最中、新政府は莫大な国費を投じて、政府の中枢を担う岩倉具視を団長に「遣米欧使節団」を派遣した。新政府の優駿総出の海外出張だ。

コメント2件コメント/レビュー

今で言えば、幕府の侍は国家公務員、各藩の侍は地方公務員に相当しますね。どの党がやるのか判りませんが、これから公務員の削減とか効率化とかの大改革を進めるとしきりに言われていますが、どうせやるなら維新に習って無駄な役人は徹底的に解雇して欲しい。またクビになる役人達にいちいち生涯補償していたのでは効果など出ないから、補償も数年分の職探し期間だけとか最小限に留めるべき。平成維新とでも言うか、思い切った改革をしない限り役人の人件費を下げることなどできないだろう。それにしても維新では大勢の武士を本当に補償もなしにクビにしたのだろうか。彼等と家族が路頭に迷うことなど判っていたはず、何か裏の歴史があるような気がするが。(2009/05/17)

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いただいたコメント

今で言えば、幕府の侍は国家公務員、各藩の侍は地方公務員に相当しますね。どの党がやるのか判りませんが、これから公務員の削減とか効率化とかの大改革を進めるとしきりに言われていますが、どうせやるなら維新に習って無駄な役人は徹底的に解雇して欲しい。またクビになる役人達にいちいち生涯補償していたのでは効果など出ないから、補償も数年分の職探し期間だけとか最小限に留めるべき。平成維新とでも言うか、思い切った改革をしない限り役人の人件費を下げることなどできないだろう。それにしても維新では大勢の武士を本当に補償もなしにクビにしたのだろうか。彼等と家族が路頭に迷うことなど判っていたはず、何か裏の歴史があるような気がするが。(2009/05/17)

忘れておりましたが確かに廃藩置県も大リストラ策でしたね。然し当時は今と違い水は井戸水、火は薪(薪も買うものでしたっけ?)、日が暮れたら寝てしまう生活。水と安全はタダと今では言いますが、水もタダではないですしね。不謹慎な言い方ですが、当時は寿命も短かったですし要介護になった老親を何十年も面倒を見る必要もありませんでした。とかくこの世は金がかかる。(2009/05/15)

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