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筆は、弘法に選ばれたい

2009年5月21日(木)

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 この季節は緑の多い大学構内を歩くのに適していますね。葉は明るく、つつじは鮮やか。スギ花粉は終わったし、梅雨までの少しの間、ああ日本に生まれて良かったと、しみじみ思う毎日です。五月病になんて、なってる場合じゃないですね。どんとこい紫外線。

 年季の入った建物に入るととたんに暗い。天井にはダクトがうねっています。

 休日でも、学生さんは登校しているようで、隣の研究室からも、声も明かりも漏れていました。

 さて、亭主関白ですか?

「オレは違うね」

 と、不遜な態度で答えてくださるのはモリヤマさん。御歳55歳。大学で教えていらっしゃいます。
 今日はその大学の教官室へお邪魔しました。

 ということは、カカア天下ですか?

「それも違うね」

 では、どういうことなんでしょう。

 カップル、いますよね。夫婦も婚姻関係にない人たちも。
 街で電車であちこちで、私が目にするそういうふたりは、当然世の中と接しているわけですから、ふたりだけでいるときとは、違う装いをしています。

 ふたりだけでいるときは、どんな風なんでしょう。お互いをなんと呼び合うか、なんてのは序の口で、私が気になるのは役割分担。お互いに支え合うなんてよく言いますが、人間だれしも得手不得手はあるわけでして、そのふたりの間では、それはどのように配分されているのか。「ゴミ出しはあなた、朝食の準備は私」なんてわかりやすいものばかりではなく、もう少し精神的なものも。そうです、たとえば、亭主関白なのかカカア天下なのかそのどちらでもないのか、どちらでもないなら、どういう平衡状態にあるのか。

 モリヤマさんのお宅では、どうなんでしょうか。

「あのねえ、俺は暴れ馬なわけ」

 そのようにご自分を評価されるのは、どういう意味で?

「放っておくとどっか行っちゃうって意味」

 ああ、そういう意味ですか。

 モリヤマさんは今でこそ教授然としていますが、若かりし助手時代は「これは」と思い立ったら即行動で、研究室に連日連夜こもったりフィールドワークに出かけてしまって何日も家に帰らず、なんてこともあったそうです。

「でも俺の偉いところは、俺は暴れ馬って自覚してるとこ」

 えーと、どういうことですか?

「自覚してるから大成してるんだよ、俺は」

 大成しているのはそうだと思います。
 でも、えーと、どういう…。

「だから俺を乗りこなす相手を選んだの。わかる? 言ってること。知ってるでしょ、俺のカミさんのこと」

 俺のカミさんつまりモリヤマさんの奥さまは、“悪妻”として知られています。

 そうですね、こう、最近記録を達成した野球監督の奥様的と言いますか、先のWBCには自軍の選手を出さなかった監督の奥様的と言いますか。あくまでイメージ、イメージです。

 いえ、私はよくは知らないのですが、モリヤマ夫婦をご存じの方は、みなさんそうおっしゃるのです。
「なんであんな女と結婚したのか」と。

 私もそう尋ねてみたいのですが、そうはっきりとは言えません。
 どう言ったらいいのでしょう。

コメント5件コメント/レビュー

「オレと一緒にいられるのはアイツだけ。」という夫。「アノヒトと一緒にいられるのはワタシだけ。」という妻。臆面もなくこういうことを言える夫婦っていいですね。片方どっちかではなく、夫婦双方がそれぞれ第三者に向かってこう言える。うらやましいなあ。(ch-k)(2009/05/25)

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「筆は、弘法に選ばれたい」の著者

片瀬 京子

片瀬 京子(かたせ・きょうこ)

フリーライター

1972年生まれ。東京都出身。98年に大学院を修了後、出版社に入社。雑誌編集部に勤務の後、2009年からフリー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

「オレと一緒にいられるのはアイツだけ。」という夫。「アノヒトと一緒にいられるのはワタシだけ。」という妻。臆面もなくこういうことを言える夫婦っていいですね。片方どっちかではなく、夫婦双方がそれぞれ第三者に向かってこう言える。うらやましいなあ。(ch-k)(2009/05/25)

いいご夫婦がいるものですね。結婚した甲斐があるというもの。お二人ともユーモアと余裕で生きていらっしゃる。とても楽しませていただきました。(2009/05/23)

おもろいやん、今回。今度はもやっとした返答してないで適当な勘でもいいからザクッと斬り込んで欲しいな。自爆覚悟で。自爆レポートも楽しみにしています。期待(2009/05/21)

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三品 和広 神戸大学教授