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上司を窓際に追いやった、僕の小さなウソ

上手な“ズル休み”のススメ

2009年5月21日(木)

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 とっさに嘘をついてしまうことがある。悪意もなければ、本当のことを言ってもさして影響はないのに、なぜか嘘が出る。でも、もし部下の「とっさの嘘」で、責任を負わされる羽目になったら、たまったもんじゃない。

 「健康問題が理由でしょ? 健康問題まで任命責任になっちゃうわけ?」と、責任を回避したのは、どこぞの総理大臣(注1)。ゴルフができて、仕事ができないわけ?…とも思いますけど。いやいや、別に健康問題が「嘘」って言っているわけではありませんので、あしからず。

注1)鴻池祥肇・前官房副長官が週刊誌に女性問題を報じられ、辞任したことについての麻生太郎首相のコメント。

 さて、嘘は嘘でも、そんな(どんな?)「考え抜かれた嘘」ではなく、ある一社員の「とっさの嘘」が、会社の上層部までをも動かす大事件が知人の会社で起こった。

 きっかけは、新商品の役員プレゼン当日の、ある出来事だった。プレゼンターはプロジェクトリーダーのA氏。A氏は初めての大仕事ということで、かなり前日から張り切っていたそうだ。

連絡なしに会議を休んだ部下

 ところが、プレゼン10分前になっても現れない。「まさか、こんな日に寝坊?」と不安になった同僚たちが、交代で、彼の携帯を鳴らすがつながらない。

 役員たちが集まる公式のプレゼンで、開始を遅らせるわけにも、ましてや中止するわけにもいかないので、彼の上司である課長(私の知人)がA氏の代わりを務めて、なんとか会議は無事終了。A氏はとうとう最後まで現れず、彼と携帯がつながったのは、午後1時を回った頃だった。

 「おい、どうしたんだ! まさか今日のプレゼン、忘れてたんじゃないだろうな!」と、電話口で激昂する課長。するとA氏は、「今朝、妻が突然倒れて救急車呼んだり、てんやわんやだったもんで、連絡もできなくて申し訳ありません」と言った。

 そして、「今日はちょっと離れられそうにないので、休ませてください」と、電話を切ったのである。

 さて、ここでもう皆さんお気づきですね。そう、その通り。「妻が突然倒れた」というのは、真っ赤な嘘。A氏は前日の飲み会で大トラになり、課長からの電話で目が覚めるまで、深い眠りの中でプレゼンターを務めていたのだ。

 それが「夢だった!」と気づいたのは、携帯に表示された電話番号とそこに表示されている時間を見た時のこと。慌てたA氏は、とっさに、「妻が…」などと、ありもしない嘘をついてしまったのである。

 初めてのプレゼン前夜に、緊張から解放されたくて、友人と酒を飲みたくなる気持ちはよく分かる。だが、彼は極度の緊張からか、“酒に飲まれた”。完全に閾値を超え、「プレゼンの緊張を解くために」飲んだお酒が、「プレゼン準備でたまっていたストレスを発散する」、ストレス解消の酒に変わってしまったのだ。

 そして、翌日。A氏は出社するなり、上司や同僚に会議をスル―したことを必死に詫びた。そんなA氏を気遣った同僚の1人が、「奥さん、大丈夫なの? お見舞いに行こうか?」と切り出した。

 するとA氏は、「今、ICU(集中治療室)に入ってるから」とウソを上塗りした。この一言が悲劇の始まりだった。

 妻が突然倒れて、ICUに入ったなんて聞いたら、普通は心配する。

 A氏の上司である私の知人も心配になり、「どこの病院に入院しているんだ?」と聞いた。するとA氏が「●×病院です」と答えたので、事の経緯を部長に伝えた。

 前日の役員プレゼンには部長も出席していたし、当然ながら、A氏が突然欠席し、スタッフがてんやわんやだったことには気づいていたので、課長である知人が部長に事の顛末を報告するのは、当然の義務だったのだ。

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「上司を窓際に追いやった、僕の小さなウソ」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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