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真面目で丁寧でシブイ。目指したのは「広岡みたいなお菓子」

  • 三田村 蕗子

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2009年5月25日(月)

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 みなさん、野球選手の長嶋茂雄はご存じですね。では、広岡達朗はいかがでしょう?

 知っているという方はおそらく30代後半以上でしょうか。今回ご紹介するのは、野球界のスーパースター長嶋ではなく、知将と称えられた玄人好みの広岡を目指した北海道のお菓子。ちょっと地味目の実力派です。

砂川市にあるほんだ菓子司の本店。中には、リンゴ菓子やリンゴジュース、リンゴジャム、生ケーキも。
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 北海道・砂川市は知る人ぞ知る、お菓子の密集地帯。お菓子の大型店が軒を連ねる国道12号沿線は、「砂川スイートロード」と呼ばれている。この地で、リンゴのお菓子を作り続けているのがほんだ菓子司だ。

 え? 青森じゃなくて北海道でリンゴのお菓子?

 私も最初はそう思ったクチだが、北海道も立派なリンゴの産地であります。生産量は全国7位。トップの青森県の50分の1に過ぎないが、ほんだ菓子司の本田日出雄社長によれば、「このあたりではリンゴ畑は見慣れた光景」なのだとか。

 競合がひしめきあうエリアで、独自性の高い商品の必要性を痛感していた本田氏は、「そうだ、ほんだ=リンゴとイメージしてもらえるよう、リンゴのお菓子で行こう!」と決意する。すでに、加工したリンゴをパイ生地で包んで焼き上げた「りんご畑の7日間」を発売し人気を集めていたので、リンゴ菓子のバリエーションをもっと増やそうと考えたのだ。

 リンゴで行こうと決めたのは、次のような狙いもあったという。

いまさらだからこそ、ヒットさせたらすごいはず

「リンゴはね、お菓子の材料としては実はこれといったインパクトがない。だから、応用が難しい。でも、うまく商品化してラインナップを充実させれば、よそのお店は真似ができないはずだと考えました」

リンゴを相性の良いパイ生地で包んで焼き上げた「りんご畑の7日間」。パッケージもリンゴっぽくて可愛い。
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北海道産バターと卵を使った生地で真っ赤な林檎を包み、焼き上げた「たわなり」。イメージするのは「たわわに実ったリンゴ」だ。
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 いいですね。この前向きな発想。リンゴのお菓子なら、津軽海峡の向こうの青森県に掃いて捨てるほど売られている。いまさらリンゴでもないだろうとは考えず、本田社長はチャレンジの道を選んだ。

 こうして、本田社長は「りんご畑の7日間」に続くリンゴ菓子を次々に開発し、「りんご倶楽部」として売り出した。

 現在、「りんご倶楽部」に属する商品は9種類。しかし、その商品名はどれもちょっと変わっている。「たわなり」「ふくろがけ」「あたり霜」「もぎのこし」「徒長枝(えだすぐり)」ーー。お察しの良い方ならおわかりだろうが、どれもリンゴの収穫にちなんだネーミングだ。

 しかし、お菓子の名前としてはかなり渋い。女性好みの横文字、カタカナを多用したメルヘンチックな商品名が氾濫する菓子業界にあって、よりによって「ふくろがけ」である。「あたり霜」である。「もぎのこし」である。

「ふくろがけ」に「もぎのこし」「あたり霜」・・・渋すぎる

本田社長が「広岡的」と呼ぶ「ふくろがけ」。レトロな新聞紙風のパッケージが渋い。
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収穫時に霜にあたったリンゴは甘みが増して美味しくなることから命名した「あたり霜」。蜜煮したリンゴをホワイトチョコでコーティングしている
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 ちなみに、「ふくろがけ」は、病気や害虫から守り、色づきをよくするためにリンゴに新聞紙をかける作業をお菓子に託し、蜜漬け加工したリンゴをマドレーヌ生地でくるんで焼き上げ、新聞紙を模したレトロな包装紙で包んだお菓子だ。「あたり霜」は、収穫時に朝晩、霜にあたったリンゴは甘みが増すことからヒントを得て、蜜煮したリンゴを一粒ずつ、霜を模したホワイトチョコレートでくるんで仕上げている。収穫されずにもぎ残されたリンゴは赤く熟し、栄養がたくさん詰まっていることに由来する「もぎのこし」は、林檎を包んだチョコレートまんじゅうだ。

 説明されれば「なるほど」という気持ちにもなるが、そもそもが渋すぎではありませんか。「もぎのこし」なんて、どちらかといえば、マイナスイメージの強い名称だ。パッケージも含めて、どれも「可愛い」とは言い難い。

 だが、時間をかけ手間をかけて、丹誠込めてリンゴを育て収穫するリンゴ農家に本田社長が敬意を払い、苦心して開発したリンゴ菓子にこう名付けたであろうことは、伝わってくる。ほんだ菓子司のお菓子は、どれもまじめで丁寧で渋いのである。

 「林檎倶楽部」の商品の中で、一番の売れ筋は「りんご畑の7日間」だが、本田社長の一番のお気に入りは「ふくろがけ」だ。

 その理由がいかにも本田社長らしい。

コメント5件コメント/レビュー

実家から車で行けるところにあるお菓子屋さんが出ていてびっくりしました。ほんださんの近くには、全国区になりつつある北菓楼もあり、確かに“ちょっと地味目の実力派”ですね。こちらのリンゴのお菓子は派手さはないけれどとても美味しいです。他の方のコメントにもあるように、“出張スィーツ”なので、どのあたりで購入することができるのかなど知りたいかも。(2009/05/29)

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実家から車で行けるところにあるお菓子屋さんが出ていてびっくりしました。ほんださんの近くには、全国区になりつつある北菓楼もあり、確かに“ちょっと地味目の実力派”ですね。こちらのリンゴのお菓子は派手さはないけれどとても美味しいです。他の方のコメントにもあるように、“出張スィーツ”なので、どのあたりで購入することができるのかなど知りたいかも。(2009/05/29)

「長島」「広岡」の呼び捨ても気になりませんが「呼び捨ては不快。」は愉快。食い付くとこはソコかい!(笑)(2009/05/26)

「長島的」「広岡的」は気になりませんが「長島」「広岡」の呼び捨ては不快。(2009/05/25)

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