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31. 勝ち負けって何? 食ったら旨い?(前)

ディケンズ『リトル・ドリット』

  • 千野 帽子

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2009年5月27日(水)

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 日直のボウシータです。余裕や渇きのない人には不向きな「負の癒し」がやってまいりました。

 先月の「4月病文学入門」で、余裕や渇きのない人には文学はなにもしてあげられないというような、なんというか俗っぽい後ろ向きなことを書きました(第28回)。

 自由というものはすべてそうなのだが、自由を享受するには、読者の心に余裕があるか、さもなくば逆に「小説をガイドラインどおりに読むなんてしんどいよ」というくらいの渇きを抱えてしまっているか、そのどちらかでなければならない。〔…〕

 余裕がないとは、つまり前回の言いかたを繰り返せば、たかが読書ごときに「この本を読んでモトを取れたかどうか」で損益勘定してしまう、ということだ。

しかしもちろん、この連載はウェブ上の記事ですから、特定の記事のタイトルだけを見てクリックしてしまうかたもいらっしゃいます。地雷を踏んだ思いをなさったかたも多いでしょう。「この記事を読んでモトを取れたかどうか」で損益勘定して、〈読むだけ時間の無駄だった〉〈読むだけ時間がもったいなかった〉という苦言をいただくことがたびたびあります。

 ホントに申しわけありません!!

 犬にでも噛まれたと思って諦めてください!!

 文学とは、モトを取ることだけを考えている人が読んだら

「うわー!! 時間を返せ金を返せ!!」

と思ってしまうもの、と定義してほぼ間違いない。文学について真っ正直に書いているこの記事もそういうものです。

 モトを取ることを気にするあなたの定義に従うなら、自分が必要としていない記事を読んでしまったあなたは「負け」です。「時間を返せ」は、勝った人なら絶対に言わない台詞です。

 「勝つ人」とはもちろん、自分が必要としていない記事を読んでしまうことのない人か、あるいは、なにを読んでも自分の肥やしにできてしまう器を持っている人です。

 文学は「勝ち負けって何? 食ったら旨い?」というタイプの人が読むものですが、勝ち負けを気にする人から見たら、こういう人たちも一概に負けなんでしょうね。

 そういうわけで改めて警告。

 負けたくない人は、ここで読むのをやめれば負けずに済みます。

*   *   *

 前回、カフカの長篇小説『審判』と『』に出てくる、ややこしいビューロクラシーについて書いた。

 だれがなんのためにややこしくしているのか、まったくわからない非情なシステム。待ち時間の多い進行。どうしてそんなことになってしまうのか理解できない不条理。働くというのは、こんなお役所仕事と戦ったり、逆に支えたり、そんなことの連続なのだ。

 もちろん、そういう状況は人を追いつめる。

 そこをなんとか打開しようとして、人はライフハックやビジネス書に頼る。そして「効率アップのコツ」を覚えるために脳細胞を酷使したり、ビジネス書を読むのに時間を浪費したりして、「カフカ指数」が上昇するのだった。

 いったいカフカは、こういう笑ってしまうしかない状況を、どこから思いついたのだろうか。彼が勤めていた保険の事務所がこんなだったのだろうか。

 じつはカフカが愛した小説家がいる。19世紀英国文学を代表する小説家、チャールズ・ディケンズだ。そういえばディケンズは、原則として主人公がひどい目に遭う話をよく書いている。そして裁判にかんする小説も多い。

 今回と次回と、カフカが心から愛した作家・ディケンズをご紹介したい。

*   *   *

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