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オカルト懐疑派に見るディベート作法~『なぜ宇宙人は地球に来ない?』
松尾 貴史著(評者:朝山 実)

PHP新書、880円(税別)

2009年5月26日(火)

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評者の読了時間7時間30分

なぜ宇宙人は地球に来ない?──笑う超常現象入門』 松尾 貴史著、PHP新書、880円(税別)

 「インベーダー」というアメリカのテレビドラマがあった。日本では、1960年代後半から70年代にかけて放映された。

 デビッド・ビンセント(露口茂が声の吹き替えをしていた)なる建築家がある晩、クルマを走らせていると、まさに着陸しようとする円盤を目撃するというのが物語のはじまり。

 すでに全米各地で宇宙人がひそかに勢力を拡大していた(なぜか彼らは、“地球”を対象にしていながらドラマでは欧州も中国もアフリカも登場しなかった。むろん日本も)。この驚くべき事実をビンセントは知らせようとするのが、だれも彼の話に耳を貸そうとはしない。

 身の危険を感じたビンセントは逃亡しつつも、孤独な闘いを続けるという連続ものだった。大ヒットした「逃亡者」のあと番組だった。

 「インベーダー」を見た夜は、こわくてこわくて。なぜなら、宇宙人たちは、ふだんはフツーの人間の姿をしていて、見分けがつかない。「彼らは、ほんとうはインベーダーなんだ!」と主人公が声を大きくするほど、鼻でわらわれ、まわりからは変人扱いを受けるのだから。

 さてさて本書は、「UFO」「スプーン曲げ」「心霊写真」をはじめとするオカルト現象について、真偽を検証していこうというもの。その類で、とりあげられていないモノはないくらいのボリュームだ。

 オカルトに懐疑的な著者の姿勢は一貫している。自称「超能力者」たちは、スプーンを曲げたり、ピンボケ写真を「念写」したりするだけで、なぜその力を社会に役立てようとしないのか。まっとうにして素朴な疑問を投げかける。読者の多くも思うことだろう。

 イースター島の巨像「モアイ」は宇宙人がつくったというトンデモ説には、東京大学大学院の石弘之教授がいう、古代人が農作業のあとの有り余る時間を費やすためにつくったのではないかとする「先祖崇拝の偶像説」をぶつける。

 あれは、ヒマをあかした古代人の「公共事業」みたいなものじゃなかったかというわけだ。フムフムと納得してしまうのは、バブル景気後に、残骸化したテーマパークを目にしてきたからか。

ひとの不安に付け込んで……

 ほかにも「気功」「風水」「サイババ」「マイナスイオン」などの流行りものから、清め塩、戒名、数珠、賽銭などの信心ものにいたるまで、著者はテレビで拝見する、あの落ち着きはらった口調さながらに、由来をたどり、そのあいまいさを指摘する。

 たとえば、象牙などを使った「開運印鑑」だ。歴史を遡れば、古代中国の皇帝が権威の象徴として日本に贈ったはんこに行き着く。運勢とは何の関係もないものだった。

 〈そもそも、西洋には印章も、画数を数える習慣も存在しない。欧米人には運勢はないのか〉とツッコミをいれ、〈いずれは電子マネー等のデジタル化で習慣自体がなくなっていくだろうし、グローバルスタンダードの波で流され、消えていくだろう〉とばっさり。

 「全知全能」の人として信奉者の多いサイババに対しては、〈なぜ英語を片言でしか喋れないか。信者の手紙の返事が遅れた言い訳にも、「翻訳してくれる人がいなくて」などと言っている。どこが全知全能なのだろうか〉と。なんのことはない。ひとのいい修行マニアのおっちゃんの周りに、商売上手なとりまきが集まり、興行化していった図が読めてくる。

 コトの真偽もそうだが、占いお守りの類から「ガンが治る水」まで、出ては消える信心アイテムのなんと多いことか。ひとはどんなに強そうにしていても、不運が続くと気は萎え、超越した力にすがりつきたくなるものだ。たとえ文明が進んでも、いや進むほどにというべきか、ひとの不安はなくなるものではないし、それに付け込みカネにしようとする発想も根絶されるものでないのだろう。

 さて、舌鋒鋭く、オカルトを見過ごせない著者だが、なぜこうまで熱心なのか。それは、恥ずかしき思い出と無縁ではないらしい。

コメント5件コメント/レビュー

この本は読みましたが、突っ込みが浅すぎて、つい著者に突っ込んでしまいます。「その論法には大穴が空いてるぞ」って。(2009/05/30)

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いただいたコメント

この本は読みましたが、突っ込みが浅すぎて、つい著者に突っ込んでしまいます。「その論法には大穴が空いてるぞ」って。(2009/05/30)

わたしもオカルト系はあんまり信じていないです。この本は意地悪な気持ちにならず笑いながら楽しんで読めそうなので、是非買って読んでみたいと思いました!40歳超えるまで「水道局がダウジングを使っている」という都市伝説を信じていた無邪気な彼氏と一緒によみます。wしりあがり寿さんがイラストを書いているというのも魅力的ですね。(2009/05/26)

人間に知識のレベルは、宇宙の真理からしたら、塵より小さなものです。その、小さな常識で、宇宙を捉えることこそ、今日の荒廃した唯物主義の結果であり、このような下らない本の記事は、掲載する必要もないかと思います。量子の世界などは、科学的に説明できない現象であり、今の科学などで、宇宙的な問題を説明するのは、今や滑稽で、知識階層の低い人たちだと思います。(2009/05/26)

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