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とりあえず定時に帰れ、話はそれからだ~『働き方革命』
駒崎 弘樹著(評者:工藤 敏明)

ちくま新書、700円(税別)

  • 工藤 敏明

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2009年6月1日(月)

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評者の読了時間2時間00分

働き方革命──あなたが今日から日本を変える方法』 駒崎 弘樹著、ちくま新書、700円(税別)

 私はかつて、とある中堅出版社で雑誌編集者として働いていた。いうまでもなくクソ忙しい。土日も関係なく、校了日が近づけば終電で帰宅するのが常態化し、それでも追いつかなければ何日か編集部に泊まり込んで発刊に間に合わせた。

 「定時」なんてはじめからなかった。残業代も出ない。大手はともかく、出版社なんてみんなそんなもんだろうと踏んでたし、実際(自分の知る限りでは)そうだったから、別になんとも思ってなかった。

 会社を辞めてフリーライターになってからも同じような、いや、もっと荒れた生活が続いている。勤務先が自宅になって、寝てるとき以外は常に仕事に襟首つかまれてる感じ。ヘタに休んで得意先から切られでもしたら、途端に食えなくなる。まあ、好きでやってることなんだけど。

 本書の著者も、私なんかと比較するのはおこがましいが、似たような働き方をしてきたらしい。

 大学3年次にITベンチャーを立ち上げ、大学に通うかたわらオフィスとして借りたマンションの「住人」と化した著者は、その経営から足を洗ったのち、フリーターを挿んで、現在は共働き世帯を支援するNPO法人の代表を務めている。1979年生まれ。まだ20代だ。

〈常に忙しいことに、僕は誇りを感じていた。忙しいというのは、必要とされている、ということだ。(中略)忙しくなかったら逆に努力が足りないということだ〉

 多忙から、無駄な時間が許せなくなり、キャパシティいっぱいまで仕事を詰め込み、社内コミュニケーションが減っても、それで会社が回るならいいじゃない、と割り切っていた。

 本書は、そんな「働きマン」な著者がふと我に返り、「それってヘンじゃね?」と、「みんなが幸せになる」働き方を模索し、実践していった経緯を綴ったものだ。

「働く」を「他者への貢献」と捉えてみよう

 そもそも「働く」ってどういうこと? と聞かれれば、多くの人が食い扶持を稼ぐことを思い浮かべるのではなかろうか。逆に、お金以外の、もっと別のものが対価となる「働く」ってなんだろう?

〈そう、誰かが言っていた。日本語の「働く」という言葉は、傍(はた)を楽(らく)にさせることから来ている、と〉

 ここから著者の理想は一気にふくらんでいく。妻、家族、友人、地域社会などなど、自分と関わるすべての他者に楽をさせること、つまり他者への貢献が「働く」ことであり、それは人生を誠実に生きることに置き換えられるんだと。そして、働き方を変えることで社会を変える、働けば働くほど世の中が楽になるのが「働き方革命」なんだと。

 革命を実現するには、具体的なビジョンがなければならない。著者はまず自分の目標とするライフビジョンを言語化し、繰り返し見て、自分に刷り込む。いくつか抜粋しよう。

  • 両親が丈夫で楽しく暮らしていて、常によい関係を深め続けていられることを、私は幸せに感じている
  • 恋人あるいは妻も仕事を持ち、また同時に互いの自己実現を支え合えるよう、私は家事や育児にも関与し、それを楽しんでやれる自分に、とても気持ちが良い
  • 私は朝9時から夜6時まで働き、十分に成果を出している。そして残った時間はライフビジョンの実現のために投資し、そのプロセスにいつもワクワクしている

 イタいと思うかもしれない。というか、私はイタいと思ったし、著者自身もそう思っている。しかし、望ましい自己イメージの反復が望ましい思考パターンをつくるというのは、認知心理学の世界では認められているわけで、バカにできないし、バカ正直に実践してみないことにははじまらない。

 著者は、ライフビジョン達成のための時間を確保すべく、「朝9時から夜6時」からとりかかる。

「6時に帰らないといけない。そう思うと、自分の手持ちがものすごく少ないような気になる」

 そりゃそうだ。著者のそれまでの就労時間は1日平均16時間。それが約半分に短縮されたうえ、会議や昼食などもろもろさっ引いてみたら3.5時間しか残ってない。否応なしに、この持ち時間のなかで「死んでもやらないといけないこと」を考えさせられる。

 自ずと仕事の優先順位が決まり、どうにか最重要事項をこなし、とにかく6時にオフィスを飛び出した。やり残したことは、なかった。

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