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部下のやる気を失せさせた、僕のうかつな一言

2009年6月4日(木)

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 まずは質問から。
 あなたは部下に声をかける時、
(1) 「キミ」と、性別、役職にかかわらず、2人称で呼んでいる
(2) 「課長」「リーダー」などと、役職のあるものはなるべく役職で呼んでいる
(3) 「〇×クン」と、新人であろうと部長であろうと、自分の部下は必ず名前で呼んでいる

 以上3パターンの、どれを多用していますか?

 「そんなの、ケースバイケース」と言う方、「接する頻度の高い部下だったら名前で呼ぶけど…」と物理的な近さで分けている人、「特に意識したことはない」と言う人、様々いるだろう。

 だが、実はこの部下への声のかけ方が、部下のヤル気を左右する大きな意味を持つことがある。しかも一歩間違うと、ヤル気を喚起するどころか、「どうせ俺なんて…」と、部下の自尊心を激しく傷つける危険性があるということを、ほとんどの上司は考えたことがないのではないだろうか。

 では、どの答えが部下のヤル気を引き起こし、どの答えが「どうせ俺なんて…」と、部下を傷つけるのか? 

 「僕…、実は今日会議で、10年来の直属の上司に『加藤』って呼ばれちゃったんです。僕って、そんなに存在感ないんですかね」と落ち込んでいたのは、某電器メーカーに勤める「小林クン」だ。

 小林クンは、同僚だけでなく役員までもが参加した大きな会議で、直属の上司に名前を間違えられた。その会議は、彼のチームが全社的に提案する新商品の企画プレゼンで、そのプロジェクトリーダーが、「小林クン」だった。

 彼にしてみれば、自分がやってきたことを認めてもらう、承認の場。自分がいわば、主人公になれる晴れの舞台で「加藤」と呼ばれてしまったのだ。

 「ホント情けないんだけど、僕はずっとその上司の下で働いてきた。仕事だけでなく、酒の飲み方や、お客とのつき合い方も、すべてその人に教わってきた。なのに、後輩や同僚だけでなく役員もいる、みんなのいる前で名前を間違えられた。俺は、そんなにダメなのかって、落ち込んでます」

名前の呼び間違いで、やる気が失せる

 「これで本当にいいのだろうか?」。日々の仕事をしながら、そう思うことがある。

 「それでいいんだ」と、上司や先輩に言ってもらいたいだけなのかもしれないし、「ちゃんとやってるぞ。そのままやれ」と、ポンと背中を押してもらいたいだけかもしれない。そんなただの、甘え、かもしれないのだが、誰かに「認めてもらいたい」、そう思うのだ。

 どんなに偉くなっても、どんなに成功を収めても「認めてもらいたい」という願望と、「これで本当にいいんだろうか?」という不安は、背中合わせだ。

 この願望と不安のないまぜになった気持ちを抱えた小林クンは、上司の些細な間違いによって撃沈してしまった。

 チームリーダーとしてやってきた「小林クン」は、「これでいいんだ」と社内に認めてもらいたいと願い、「これで認められるかもしれない」という希望を抱き、会議に臨んだ。ところが、上司に名前を間違えられた。

 その瞬間、同僚や後輩たちの間に流れた微妙な空気を、彼は恥ずかしく感じた。自分は名前を間違えられるほど、存在感もない、上司にも認められていない存在なんだ、と感じてしまったのだ。
 
 たかが名前、されど名前。小林クンの話を聞いて、「それってたまたま上司が間違えただけで、大したことじゃない」と言うかもしれない。

 だが、名前は自分自身そのものだ。
 だから、名前を間違えられたり、覚えてもらえなかったりすると、なんとなく悲しいし、いつも一緒に仕事をしている上司や先輩社員から名前を間違えられると、「自分はそんなにダメなのか? そんなに印象が薄いのか?」などと、存在価値まで否定された気分になる。

 どんなに「あの人ボケてるだけだから、気にするな」と同僚に励まされようとも、凹んだ気持ちは治まらない。本当にボケているだけかもしれないし、名前を覚えるのが苦手な人なのかもしれないし、大したことじゃないじゃない、と自分に言い聞かせても、釈然としない気分が残る。

コメント9

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「部下のやる気を失せさせた、僕のうかつな一言」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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