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マイブームよ、ありがとう『じゅんの恩返し』
~努力なくして「好き」はなし

  • 浅沼 ヒロシ

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2009年6月10日(水)

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じゅんの恩返し 時代への親孝行』 みうらじゅん著、ソフトバンク クリエイティブ、1800円(税抜き)

 みうらじゅんをご存知だろうか。

 真ん中分けの長髪にサングラス、ダミ声でさかんにエロ話をまくしたてる話芸の持ち主で、『タモリ倶楽部』をはじめ、テレビ番組にもしばしば登場する。

 漫画家、イラストレーター、エッセイストほか自称する肩書きは山ほどあるが、はっきりいって、世間一般からすれば決してメジャーな人物ではない

 しかし、みうらじゅん。ただ者ではない。

 かつて「マイブーム」で流行語大賞にノミネートされ、2008年、とうとうあの広辞苑に収録されるという快挙をなしとげた。広辞苑は、流行語を積極的に入れ替える「現代用語の基礎知識」と違って、一度収録した言葉はめったなことで削除しないという。

 つまりみうらじゅんは、辞書に残る仕事を成したのである。

 そもそも「マイブーム」とは何か。

 世の中で流行していない何かに自分だけがハマッている。そのハマっている状能をいくぶん誇らしげに自慢するのが「マイブーム」である。

 みうらじゅんは、「マイブーム」仕掛け人であり、誰よりも多彩な「マイブーム」を誇る。本書でみうらは、来し方をふり返り、濃厚な時を与えてくれた「マイブーム」対象物への謝意、自分を育ててくれた“時代”への御礼の気持ちを「恩返し」として語っている。彼の実践してきたマイブームの数々を概観するにはうってつけの本だ。

 原稿は、「ほぼ日刊イトイ新聞」でのインタビュー連載がもとになっており、インタビュー時間は合計8時間以上にのぼる。ちなみに本書には、パソコンやipodなどでもみうらの話を視聴できるように、インタビュー映像をすべて収めたDVDも付いている。

好きだから買うのではない、買うから好きになるのだ

 みうらじゅんは物事に対する偏執的なこだわりと、時流を微妙に読み違える観察眼を持ってこの世に生まれた。人並みに「怪獣ブーム」に乗っておだやかな少年時代を送っていたみうら少年は、小学校4年生のとき、ふつうの男の子と違うものに興味を覚えるようになる。怪獣の持つ“異形”の魅力つながりで、仏像に興味を持つようになったのだ。

 やがて仏像に夢中になった彼は、〈初代ウルトラマンは弥勒菩薩から影響を受けて作られてる〉とか〈般若心経の言葉と、中学1年の頃に買ったジョン・レノンのイマジンの歌詞が、同じものである〉ことを発見する。しかしこのワクワクするような発見を口にするたびに、〈「ちょっと頭がおかしいんじゃないか?」って言われて。友達をなくすことにもなってた〉という。

 しかし、仏像への思いは捨てがたく、〈将来はお坊さんになって「寺ごと仏像もゲット」という夢を描いて〉仏教中学に入学する。仏教中学、仏教高校と進んだみうら青年は、思春期特有の「女の子にモテたい」という煩悩にさいなまれ、寂しさを詩に書いて毎日のように曲を付けるというノルマを自分に課した。当時大スターだった吉田拓郎にあやかるには自分で作詞作曲するしかない、と考えたからだ。

 高校時代に知り合った女の子から手紙をもらったとき、みうらは、〈その文面に対してメロディを付けて、カセットに収めて彼女に送り返〉すという荒技を繰り出した。少し考えれば、彼女から2度と返事が届かないことくらい分かりそうなものだが、みうらじゅんは気づかなかったのだ。

 思春期から続く長い長いトンネルを、みうらじゅんは「DT期」(DT=童貞)と呼ぶ。モテる方法をリサーチしていないみうらは、けもの道を歩き、DTをこじらせることになってしまった。しかし、DT期は人間スポンジともいえる時期で、何でも吸収できる。

 世の流れとは無関係に自分だけのこだわりを持つ「マイブーム」の土台が、みうらのこのDT期に形成されたことは言うまでもない。

 ここで、みうらじゅんの「恩返し」の一端を紹介しながら、マイブーム哲学の真骨頂を探ってみよう。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官