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古都の空気、お届けします~『京都の空間意匠』
清水 泰博著(評者:澁川 祐子)

光文社新書、820円(税別)

  • 澁川 祐子

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2009年6月10日(水)

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評者の読了時間4時間30分

京都の空間意匠──12のキーワードで体感する』 清水 泰博著、光文社新書、820円(税別)

 読みはじめて、オヤと思った。てっきり京都を代表する建築を解説した本かと早合点していたのだが、実際はもっとスケールの大きい内容だったのだ。

 もちろん、寺院や神社、お屋敷などの建築物がランドマークになっている。だが、その細かな意匠や由来についてひも解くのではなく、語りの主眼はあくまでその場全体の空気感だ。本堂にたどりつくまでの曲がりくねったアプローチだったり、座敷から見渡した枯山水の間合いだったり、障子や柱と庭が織りなす内と外との調和だったり……。光と闇のコントラスト、深い緑の色合い、静けさといった、五感で感じとった空間の印象が12のキーワードに沿って描写されている。

 著者は、モノから建築、ランドスケープ、都市環境デザインまで幅広く手がける人物。京都で生まれ育ち、京都の街歩き歴40年以上という筋金入りの京都通だ。

 冒頭で、この本は著者お気に入りの場所を〈私の勝手な観点から述べていこうといった趣旨〉で書いたもの、と断っている。とはいえ、体験から導き出された洞察に、なるほどなあと頷く箇所がいくつもあった。

飛び石に込められた意図

 たとえば、江戸初期の名庭園・桂離宮の飛び石をとりあげ、

〈飛び石の道というのは歩幅も限定され、場合によってはどちらの足で踏むかも決められてしまうくらいだ。小さい石の連続では視線はどうしても足元への注意のために下向きになり、逆に石が大きくなれば周りを望めるようになる。更に大きな石の場所では少し立ち止まって周りを眺められるといった具合だ〉

 と自らの動きを観察し、〈池の中の飛び石に限らず、我々は平地であろうと飛び石があればその上を歩こうとする。その原理を利用して日本の庭は作られているのだろう〉と語る。つまり、飛び石には庭の制作者の意図が込められているというのだ。

 またあるときは、同じ桂離宮でも茶屋の松琴亭を望むアングルに目を遣り、そのスケールの妙について語る。

 松の続く先に島があるという、日本三景の一つである「天ノ橋立」を連想させるこの景色。名所を模した風景式庭園はイギリスでも盛んに造られてきたが、イギリスのそれは風景をありのままに再現しているのに対し、桂離宮のこの造形は異様だと指摘する。

〈細長い島で表現された天ノ橋立の中で松は巨大であり、向こうにある建物も巨大である。つまり、風景としてのスケールは全く無視している〉

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