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天才の発想と「1万時間の法則」

他の追随を許さぬ発想と存在はいかに生まれたか

  • 松島 駿二郎

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2009年6月12日(金)

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 歴史上、様々な分野に天才と呼ばれる人がいる。天才たちの発想、歴史に残る天才の名著、天才とはどのようにして生まれるのか――。不況を克服するイノベーションの登場が待たれる21世紀は、天才たちが主導する世界。天才にはなれないかもしれないけれど、天才を知ることはできる。天才の発想に触れ、新たな視点を拓いてみよう。

◇   ◇   ◇

世界がわかる理系の名著』鎌田浩毅著 文藝春秋刊 750円(税別)

 著者は世界的な火山学者で、京都大学教授。大学の授業は理系科目の中でナンバーワンの人気を誇る名物教授だという。理系の本というと横書きが多いが、本書に取り上げられた数々の書物は、別に理系でなくとも面白く読めるものばかりだ。

 本書で紹介されるのは、科学発展の基礎となったような書物である。誰もが書名を聞いたことはあるが、原典では読んでいないような本だ。

ダーウィン、カーソン、ファーブルなどの古典を紹介

 今年は進化論のダーウィン生誕200年目に当たる。本書も名著のトップバッターにダーウィンの『種の起源』を持ってきている。

 ダーウィンは若い頃、英国海軍の船で世界を周航した。そして鋭い観察眼で、世界各地の生物の多様性と、同じ種類でも、環境が違うと、小さな変異があることに気づいた。ご存じガラパゴス諸島では、島ごとに嘴のちょっと異なるフィンチという鳥がいた。

 なぜだ、とダーウィンは考えた。そして、“恐ろしい”結論に到達し、名著『種の起源』を上梓するまで、実に30年間も悩み続けた。この書物でダーウィンは適者生存という考え方と、進化という考え方を世に問うた。

 地球上のすべての生物(人間も含めた)は進化の途上にあり、進化を時間を後ろ向きにたどっていくと、人間はサルになり、さらにたどれば虫けらにもなる。つまり、人類は虫けらから進化したのだ。

 全能の神が地球上の全生物を一気に創造されたという聖書『創世記』の考えが、ダーウインの『種の起源』では木っ端微塵にされてしまった。時代は進化論を巡って紛糾した。300年前だったらダーウィンは間違いなく異端審問にかけられ、火刑台上に消えたであろう。

 もう1つ世界を変えた本が紹介されている。レーチェル・カーソンの『沈黙の春』だ。磯辺の生物が好きだったレーチェルは海洋学者になる道を選んだ。

 ある日のこと、レーチェルはボストンの新聞に蚊を駆除するためにDDT を散布した地区で、生物が壊滅的な被害を受けた、という記事を読んだ。この時からレーチェルは環境問題に強い意識を持ち始め、春になると賑やかに鳴いていた鳥や、艶やかに舞っていた蝶がいなくなったことに気づいた。全米で調査を進め、55歳の時に『沈黙の春』を発表した。

 この書物は全世界に大きな反響を巻き起こした。蚊であろうとバッタであろうと、生態系の中で、1つの種がいなくなると、全体でバランスを取っていた生物の世界があっという間に崩壊する。生物多様性の保持という環境学の最先端の考えがこの時に産声を上げた。

 本書で取り上げられた書物の多くは文庫化されていて、気軽に手に入れることができる。先日、『ファーブル昆虫記』(林達夫ほか訳)全20冊を神田神保町で、2000円で手に入れた時は嬉しかった。

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