いつしか音楽を聴かなくなってしまったビジネスパーソンに贈る本コラム。カバー曲を集めたコンピレーションアルバム『コトノハ』『コトノハ2』を手がけた、元野村証券トップアナリストの佐藤明さんに、お薦めを紹介していただきます(詳細は、「元野村のトップアナリストが掘り出したお宝銘柄…ならぬ『名曲』」)。
戸田(以下、――) 6月21日は「父の日」です。父親に音楽で日頃の感謝を示すというのは洒落ているかもしれませんね。
佐藤 明 ところで、戸田さんは「父親をテーマにした歌」と言うと、何を思い浮かべますか?
―― えっ? う〜ん・・・。あっ、エリック・クラプトンの「マイ・ファーザーズ・アイズ」がありますね。
佐藤 よく頑張りました(笑)。洋楽では、マドンナの「パパ・ドント・プリーチ」もあります。でも、父親をテーマにした歌は、案外と少ないのです。私と同世代の友人に同じ質問を投げかけたところ、返ってきた答えが「村木賢吉の『おやじの海』」。ザ・演歌です。私も嫌いではありませんが。
ちなみに、検索サイト「Google(グーグル)」で、「父 パパ お父さん 歌」と「母 ママ お母さん 歌」で検索すると、22万8000件と78万9000件でした。存在感は、3.5倍違うというわけですね。
お父さんが肩身狭い時代は終わった
佐藤 1990年代終わり頃から、若いベンチャー経営者が世の中で注目を集めるようになりました。女性の社会進出もゆっくりではありますが、確実に進んでいます。
コツコツ働いているお父さんたちは陰となってしまい、少し肩身が狭かった時代でした。揚げ句の果てに、オヤジ狩り・・・。お父さんにはつらかった(涙)。
しかし、そんなことはもう言っていられません。今回のような経済危機を乗り切るには、若い起業家も女性も、そしてお父さんも含めた全員の知恵と力を結集する必要があると思います。そこまでやって初めて、日本経済の復活につながる。お父さんに「しょぼん」としている暇はないのです。
そんな父親を皆、期待しています。まずは、忌野清志郎の「パパの歌」です。
―― 前回、このコラムで紹介しました。それを読んで、「清志郎の音楽CDを購入した」という嬉しい声も頂きました。
佐藤 働く父親に対する、ストレートなリスペクトソングです。歌詞を作ったのは糸井重里です。休みの日はゴロゴロしてトドみたいだけど、「働くパパは光っている 昼間のパパはかっこいいぜ」というメッセージは、自信を失った多くの父親ビジネスマンを勇気つけました。清志郎は亡くなりましたが、この歌がいつまでも世の父親の応援歌として聴かれることを願います。
J-POPのクレージーケンバンドには、その曲名もずばり「RESPECT!OTOSAN」があります。「高度成長期駆け抜けた」父親への感謝を歌っています。
ヒット曲ではありませんが、大事MANブラザーズバンドの「フォー・マイ・ペアレンツ」はぜひ聴いてほしい。「グループ名は知っている」と言う人は多いと思います。
大事MANブラザーズと言えば、日本のバブル崩壊直後の1991年に大ヒットした「それが大事」が有名ですね。「負けない事・投げ出さない事・逃げ出さない事・信じ抜く事 駄目になりそうな時 それが一番大事」という歌詞は、現在でも、訴えるものがあります。
一発屋的に言われることがありますが、良い曲をたくさん作っています。アルバム「これも大事」の最後の曲、「フォー・マイ・ペアレンツ」は、父の日にふさわしい曲です。「背中で守った父親と心で守る母親に 何をかえせばいいの」というメッセージ、ぐっときます。
「父親世代の日本」を引き継ぐ
「記念ライダー1号 〜奥田民生シングルコレクション〜」 2枚同時発売のベストアルバム。「愛のために」を収録
佐藤 直接、父親のことを歌っているわけではないのですが、心にしみるのが奥田民生の「愛のために」。この歌の一節、「雨にも風にも夏にも負けず 明るい日本の見本となった」という歌詞は、間違いなく父親世代へのメッセージです。
奥田民生は「おっさん」という言葉を使っていますが、彼と同世代である私は「父親世代が今の日本を作った。自分たちがそれをしっかり受け継いでいく」と伝えたかったのだと思えてなりません。ある意味、「コミットメント」の歌です。そこに共感できますね。
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