「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」

インサイト販売店に潜入! プリウスを買う人との違いはここだった!

第4回:ホンダ インサイト【総括編】

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2009年6月18日(木)

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(前回「ハイブリッドが2割になればクルマが変わる!? 【開発者編・後編】 」から読む)

 この「走りながら考える」は、実際にクルマに乗って、開発者から直接お話を伺い、最後に販売の現場、あるいはユーザーから“生の声”を伺う三部構成で進めていく、と初回でお話しした。

 今回のリポートはインサイトの巻の“最終回”、販売現場からの声をお届けする。たまたま目に付いた販売店にアポ無しで飛び込んだ“突撃取材”であるので、ホンダの広報や日経BP社、またカーセンサー編集部は一切関知していない。一般客を装ってディーラーを訪れ、冷たいオシボリで顔を拭い暖かいコーヒーをご馳走になりながらお話を伺ったのである。販売店からしてみれば単なるヒヤカシのオヤジになってしまったわけだが、他に客が一人もいない平日の閉店間際だったので、営業妨害はしていないと思う。お店の皆様、お騒がせしてどうもスミマセン(いや別にゴネたり騒いだりはしていませんが)。では早速店内に入ってみよう。

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若手店員君、ごめんね

F:こんにちは。インサイトを見に来たのですが……。

D:はいはいどうぞ。二階が商談ルームになっていますんで、どうぞどうぞそちらの階段からどうぞ。

(いきなり“商談”と言われてヤマグチ多少ビビる)

F:いえあの、今日は下見と言うか、インサイトがどんな感じのクルマかお話を伺いに……。

D:大丈夫です。さ、上にドーゾ。

 日焼けした肌にヘアワックスでツンツンに立てた頭髪。細身のスーツを着た(着こなした、とは言い難い)セールスマン氏がいささか強引に二階に誘導する。

「店長さんはいらっしゃいますか? できれば責任あるお立場の方にお話を伺いたいのですが」

「…あ、そうスか……」

 こういうのは少し感じが悪かったかもしれないが、立場のある方の方がこの店だけでなくエリア全体の事情にも精通しておられよう。しかし残念ながら店長は本社の会議に出席中とのことで不在だった。代わりに対応してくださったのは女性の販売主任だった。

F:今日はインサイトを見に来ました。でも失礼ながら今はプリウスと天秤に掛けていて、どちらを買ったら良いのか決めかねている状態です。プリウスと比べて、インサイトがこれだけイイよ、インサイトを買った方がトクだよ。つまり私を納得させてくれるようなお話を聞かせてください。

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主:ハイ。まずは価格面とドライバビリティ、それから軽さと荷室の広さです。プリウスはキャディバッグが3つ入りませんが、インサイトなら3つまでキチンと収まります。

 立て板に水でスルスルとメリットを挙げるあたりはさすが販売主任。まずは販売マニュアル通りの模範解答、といったところだろう。

F:ドライバビリティとは、具体的にどういう……?

主:車重が軽いことと、重心が低いこと、それにサスペンションの硬さなどです。エンジンは小さいですが、モーターのアシストで1.8リッター車並みの走りを実現しています。

意外にプリウスと比べない。そのワケは?

 数日間にわたりジックリ試乗した私も、その意外な“走りの良さ”に驚嘆したのは試乗記(注目度抜群!「いいですね、ホンダのプリウスでしょコレ!」 )で既報の通り。このあたりの宣伝文句に誇張はない。

F:やはりプリウスと比較する人が多いでしょう。ひょっとするとお客の全員がプリウスと比べているのではありませんか?

主:ええ、プリウスと比較されるお客様は確かに多いです。でも2割くらいのお客様は完全にインサイト指名買いです。ご商談中プリウスのプの字も出されません。

 これは予想外の話だ。実際に腹の中ではインサイトと決めていても、価格交渉のツールとしてプリウスを持ち出さないのだろうか?

F:へぇ? それは意外だなぁ……。そんな人が居るんだ。どんなタイプの人だろう。

主:トヨタさんがキライな人です。

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著者プロフィール

フェルディナント・ヤマグチ

フェルディナント・ヤマグチです。皆様と同じようにビジネスの最前線で仕事をする傍ら、アチコチの雑誌で連載を持っています。つまりクルマ業界に接してはいますが、本業ではない。首まで浸かっていない故、かえってギョーカイのシガラミや仕来りを超越して、好き勝手なことを書き倒すことが出来る微妙且つナイスなポジションに立っています。もちろん皆様と同じように昔からクルマが大好きで、学生時代はかなり無理をして懸命にクルマを購入したクチでして、一番最初に買ったのは、初代RX-7でした。最後は青山墓地の前で追突され大破してしまいましたが、あれは良いクルマでした。本業はかなり堅い会社で管理職を務めるリーマン稼業なものですから、顔出しNG&ペンネームで失礼いたします。や、そう警戒なさらないで下さい。決して怪しい者ではございませんので。



このコラムについて

フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える

 この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつかりました。どうぞよろしくお願いします。
 なに、“考える”と言ってもそれほど大袈裟なことではありません。クルマはこれからどうなって行くのか。現在売り出されているクルマは何を考え、何を目指して開発されたのか。実際にクルマに乗り、開発者に会ってお話を伺い、販売現場からの声にも耳を傾ける……。ビジネスはビジネスとして事実をしっかりと捉まえた上で、もうちょっとこう明るく楽しくクルマを味わって行こう、というのがこの「走りながら考える」の企画意図です。

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