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ラーメン店よ、「男飯」に帰っておいで!

山田五郎×久住昌之 僕たちの好きな男飯【2】

  • 山田 五郎,久住 昌之

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2009年7月2日(木)

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 『純情の男飯』の山田五郎氏と『孤独のグルメ』の久住昌之氏が「僕たちの好きな男飯」を語る。前回は、男飯を食ううれしさを語るはずが、一転して「ラーメンブログを書く若い男への怒り」がたぎってしまった。人にとって飯とはなにか、という哲学的命題に踏み込む第二回。あなたは能書きを食っていないかどうか、ぜひ自己チェックを!

山田五郎(やまだ ごろう)。
1958年12月5日東京都渋谷区生まれ、大阪府豊中市で育つ。上智大学文学部在学中にオーストリア・ザルツブルク大学に1年間遊学し西洋美術史を学ぶ。卒業後、講談社に入社し「Hot-Dog PRESS」編集長、総合編纂局担当部長等を経てフリーに。現在は時計、ファッション、西洋美術、街づくりなど幅広い分野で講演、執筆活動を続けている。フライデーで連載した『純情の男飯』が上梓され、好評。
久住 昌之(くすみ まさゆき)。
1958年7月15日東京都三鷹市生まれ。漫画原作からデザインや音楽活動など幅広い活動を行うアーティストとして活躍している。『孤独のグルメ』(画・谷口ジロー 原作・久住 昌之)は超ロングランの傑作。最近「SPA!」で連載が復活した。

飯はカロリーを摂取するものだ

――山田さんご自身は、こんな飯が好きだというのはあるんですか。

山田 サバはアレルギーでダメだけど、それ以外なら何でもOK。前回もいったように、俺、別に食い物にうるさくないですから。

――うるさくないのに『男飯』という企画をやってみたいと思われたわけで。

山田 うるさくないからこその『男飯』なんですって。うるさいグルメ情報が多すぎるから、何も考えず気楽に食べられる店を紹介したいと思ったわけで。基本1000円以下で昼飯が食え、一人で行って本を読みながら食べても怒られなさそうで、普通にうまい。そんな基準でお店を選びました。

――一人で行って、何か本を読みながら食える。あ、いいなあそれ。

山田 雑誌やスポーツ新聞が置いてあると、さらにいいんですけどね。

 ちなみに『男飯』の裏コンセプトは、「飯はカロリーを取るために食うもんだ」。

久住 そうそう、本当にそうだよ。

山田さん(写真:大槻 純一 以下同)

山田 高カロリーが嫌なら、食うな。健康な若い者は、ばくばく食ってバリバリ働かなくちゃダメですよ。

久住 ダイエット・コークとか、カロリーオフのビールとか、マヌケな飲み物があるじゃない。飲まなきゃいいじゃん。

山田 必要以上に食って、必要以上に太って、必要以上にジョギングしてカロリーを消費するような,非生産的で燃費の悪いアメリカ型の食生活は、愚の骨頂。必要な分だけ残さずばくばく食べて、そのカロリーを無駄なく生産活動に費やすのが、正しい「男飯」というものです。

大阪で「食」を考える

久住  俺、10年ぐらい前かな、初めて大阪に行ったときに、こっちにもある自由軒のカレーを食べてみたいって、行ったんだよ。

 混ぜカレーっていうのを食べるんだけど、人のを見たら、生卵が載っていたんですよ。カレーに生卵は好きじゃないんだ。今だったら食べてみると思うけど、そのときは好きじゃなかったら、「卵を抜いてください」って言ったの。そうしたら店員がすごい変な顔をしたのね。まずいことを言ったかなと思ってさ。カレーが出てきたら、「卵の分だけ多くしておきました」って、こんもり大盛りなの(笑)。絶対東京じゃないね、その考え方は。別に俺、同じ値段でもいいんだもん、抜いてくれるだけで。こっちのわがままなんだから。大盛りはありがた迷惑。

山田 俺は大阪商人の孫で、中学・高校と大阪で育ったから、その店員の気持ちも、ちょっとわかっちゃう。大阪人の理屈としては、「卵、50円ぐらいするやろ。それやったら50円引くか、その分なんか付けるかせんと詐欺や」ってなりますよ。

久住 なるんだ。

山田 なりますね。それが大阪の商道徳です。

久住 それでその日は、大阪をいろいろ歩いて取材するって仕事だったので、いろいろ食べなきゃいけないの。1軒目でさ、どーんときちゃったんだよ。何か、本当に残すの悪い感じがするじゃない。だって向こうは「卵の分だけ多くしておきました」って言うから。

 食べて、郊外の方を歩いて、名も知らぬ喫茶店に入ったのね。喫茶店に入ったんだけど、ちょっと大阪っぽいんじゃないかなと言って入ったら、喫茶店なのにお好み焼きがあったの。

 こういうのは東京の喫茶店には無いと思って頼んだら、どーんと大きいやつが出てきて。さっきカレー大盛り食べたばかりで(笑)

久住さん

 それでこっちはカメラとか地図とか持っていたから、店のおばちゃんがまた気さくに「どちらから来はったんですか」みたいに話しかけてきて。

 それで「ああ、東京から来て」とか言って、初めて触れる現地の大阪人だからと思って、聞いてみたの。

「東京の人はええかっこしいとか言うけど、具体的にどういうところが『ええかっこしい』と感じますか?」

って。そしたらおばちゃん即座に「あの人たち、残すやろ?」って(笑)・・・もう残せないじゃん(笑)。

――ダブルパンチですねえ。

久住 残すっていうのは、もったいないやんかという。お金を払ったんだから、食べなきゃ損だろうみたいなね。こちらとしては金払うから、同じ量で卵抜いてくれって。でも、大阪の人は、お金と量がくっついているのかなって。

山田 その傾向は、あるかも。質の評価には個人差があるけど、量は客観的な数字で表せますからね。

久住 高くてうまいのは当たり前やと言うじゃない。俺、うまいのは、高くてもいいよと思うんだよね。

 大阪はいっぱい行って、まだ、行ってないところもちろんあるけどね、どんな小さな店に入っても、90点とか、80点とか、味も値段は70点は絶対に取っているんだよ。だけど105点とかがない感じ。

 東京とかだと、高い金出すと105点とかいう、信じられないようなものもあるじゃない。大阪って、90点止まりの感じがするのよ。もっと俺の行かないようなところに行けばあるんだろうけど。

 でも東京はさ、0点とかさ、あるじゃん(笑)。金、出してるのに。大阪の人が「東京はまずい店が多くて」とか言うけど、それはその振れの幅だと思うんだよね。本当に、よくこんなもの出して金、取れるなという中華料理屋とか。東京の繁華街ならもいくらでもあるよ。

山田 おしゃれ系の店には結構、多いですよ。

久住 あるね。

山田 これを言っちゃうと反感を買うだろうけど、男にとって、女性客が多い店は要注意っていうのは、ありますよね。味覚はともかく、食に対する価値観が違うような気がするんですよ。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長