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医師は増員すべき?

  • 木村 憲洋

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2009年7月7日(火)

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はじめに

 医療崩壊が叫ばれる昨今。これまでの日本の医療政策は、主に、厚生労働省と日本医師会の間の駆け引きを軸に決定されてきました。一方、医療を受ける国民は、その議論には十分に参加できず、蚊帳の外に置かれてきたのが現実です。

 こうなってしまった最大の理由が、医師と、医療を受ける一般国民の“情報の非対称性”にあることは間違いありません。医療は細分化が進み、深い医学的知識と、積み重ねられてきた経験により提供されています。その結果、医師においても、専門分野外については詳しい知識を持っていないという例が珍しくありません。

 私は、医療に関する知識が広く社会に浸透することが、医療崩壊を救う第一歩になると考えています。しかし、“情報の非対称性”が大きな壁として立ちはだかる今のような状況では、日本の医療の将来について、幅広い議論を期待するのがかなり難しいのもまた事実です。

 これまで私は、医療政策の策定や病院経営のお手伝いをしてきました。現在は、大学で教鞭をとるかたわら、医療機関や医療関連ビジネスの経営支援業務に携わり、医療に関する執筆活動も行っています。このコラムで私は、医療崩壊の原因とされる様々な問題について自分なりの分析を行い、それに対する、医療関係者と一般の皆さんの双方のご意見をお伺いしたいと思っています。

 現在、日本の医療が抱える様々な問題について幅広い議論ができれば、その中で、“情報の非対称性”の壁も少しずつ崩れていくはずです。そして、その繰り返しが、医療従事者と国民の相互理解を促し、日本の医療と社会を幸せにすると考えています。

 そこで、医療専門サイトである「日経メディカルオンライン」と、医療を受ける立場の読者が多いであろう「日経ビジネスオンライン」の双方で、同じテーマについて考えていただく場を提供しようと考えました。

 読者の方にお寄せいただいたコメントと投票結果については、日経メディカルオンラインと、日経ビジネスオンラインの双方のものを、閲覧できるようにしてあります。コメントや投票結果の違いを参考にしていただきながら、日本の医療の将来について考えていただければ幸いです。

実は、医師数自体は増え続けている

 現在の医療崩壊の元凶は医師不足だと言われています。しかし、医師の数自体は増え続けており、2006年には26万人を超えています。診療所の医師だけでなく、崩壊が顕著といわれる病院でも医師数は増加しています。

 1994年の厚生白書の第1編の中には、「充足されつつある医師数」というタイトルがあり、そこには、人口10万人における医師数が150人を超えたことが記されていました。

 政府は80年代に入ると将来的な医師数の過剰や医療費の増大を懸念し、82年には医師数の抑制方針を、97年には医学部定員の削減維持を閣議決定しています。つまり、少なくとも10年前までは、医師不足という認識はなかったのです。では、どうして、その後に医師不足が生じたのでしょうか?

 医師不足が顕在化し始めたのは、2005年頃でした。これは、医師法改正により2004年度からスタートした新医師臨床研修制度がきっかけとなっています。

 この制度が始まる以前、臨床研修においては、大学病院に研修医が集中していることで様々な問題が生じていました。人数の多さ故に一人ひとりが十分な研修を受けられず、また、大学側が十分な給与を支給していなかったため、少なからぬ研修医がアルバイト診療を余儀なくされていました。加えて、大学では特定の科目のみを学ぶ「ストレート方式」を採用しているケースが多く、プライマリーケア(総合的な診療)を学ぶ機会が少ないことも指摘されていました。

 そこで新制度は、2年間の臨床研修を義務化したうえで、専門性の習得よりプライマリーケアための研修を重視する内容に変更されました。また、研修病院では、研修医の処遇改善も求められることになりました。これにより、医学部卒業以降のそれまでの慣習が、大きく変わったのです。

7月13日をもって投票の受付は締め切りました。ご協力ありがとうございました

コメント167件コメント/レビュー

1987~2007年の20年間に病院は11%強減少しており、代わりに診療所(開業医)が25%も増えていいます。これが問題なのです。「医師不足」ではなく、「医師の偏在」なのです。その原因は他の方も書いておられましたが、診療報酬の偏在にあります。開業医の方が楽で儲かるからです。私の知っている限り、先進諸国で開業医の方が勤務医よりも収入が多いのは日本だけです。どの国も高度な治療を行う勤務医の方を高く設定しています。それどころか、開業医程度の仕事は診療看護師に任せる方向に舵を切っている国が大半です。勤務医の収入も他の国に比べて十分高いのですから、やるべきことは開業医の診療報酬を現在の3分の1から4分の1程度に大幅に下げることでしょう。またNP(ナースプラクシショナー=診療看護師)の養成も大分や東京などではすでに始まっているわけですから、速やかにそれらの職種に診察・投薬の権限を与え、開業医や一般外来程度の仕事は彼らに任せるべきでしょう。そして余った開業医などは、急性期に回すべきですね。あ、でも救急じゃ使えないか。それなら雑用でもやってもらいましょうか。使えない開業医クン達には。(2009/07/14)

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いただいたコメント

1987~2007年の20年間に病院は11%強減少しており、代わりに診療所(開業医)が25%も増えていいます。これが問題なのです。「医師不足」ではなく、「医師の偏在」なのです。その原因は他の方も書いておられましたが、診療報酬の偏在にあります。開業医の方が楽で儲かるからです。私の知っている限り、先進諸国で開業医の方が勤務医よりも収入が多いのは日本だけです。どの国も高度な治療を行う勤務医の方を高く設定しています。それどころか、開業医程度の仕事は診療看護師に任せる方向に舵を切っている国が大半です。勤務医の収入も他の国に比べて十分高いのですから、やるべきことは開業医の診療報酬を現在の3分の1から4分の1程度に大幅に下げることでしょう。またNP(ナースプラクシショナー=診療看護師)の養成も大分や東京などではすでに始まっているわけですから、速やかにそれらの職種に診察・投薬の権限を与え、開業医や一般外来程度の仕事は彼らに任せるべきでしょう。そして余った開業医などは、急性期に回すべきですね。あ、でも救急じゃ使えないか。それなら雑用でもやってもらいましょうか。使えない開業医クン達には。(2009/07/14)

「医療崩壊」の小松氏はよくサッチャー政権が医療崩壊を招いたと言っていますが、サッチャー政権で特に寿命に変化はみられません。ブレアになってから医療費を1.5倍に増やしたそうですが、寿命も1.5倍に延びたのでしょうか(笑)。労働党が単なる選挙対策としてばらまいただけではないでしょうか。それもサッチャー革命によって経済が回復したからこそ可能となったのですが。また彼はサッチャー政権下では、手術などは数カ月待ちだったとも言っていますが、それは欧州では極めて日常的なことなのです。先日「サンデープロジェクト」でフィンランド特集をやっていましたが、その番組の中でも「眼科の診察に7か月待たされた老人」がでてきていましたね。それでも概ね問題はないようです。そんなものです。欧州の医療とは。(2009/07/12)

アメリカやイギリスでは、「ナースプラクティショナー」と呼ばれる医療分野の専門職があるようです。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%BC)このような専門職を日本でも導入し、その方たちに開業医や一般外来が行う初期診療や慢性病の対応程度の仕事、或いは僻地での診療、さらには検査(これはPAでもいいが)などをお願いすればよいのではないでしょうか。また日本では歯科医師が過剰となりつつあるようですので、彼らに「麻酔科」や「外科」の治療権限を付与することも考慮に入れてもよいのではないでしょうか。彼ら歯科医師は基礎医学も学びますし、実際に臨床の現場では麻酔を多用します。全身麻酔をおこなう歯科医師も存在します。また口腔外科では現在でも実際に歯科医師が外科治療をおこなっています。このような事実に鑑みると、歯科医師に「麻酔科」「外科」の診療科に限り医師と同様の権限を付与しても、さほど問題はないかとも考えられるのですが。「ナース・プラクティショナー、フィジシャン・アシスタント」(http://sankei.jp.msn.com/life/body/081217/bdy0812170804000-n1.htm)(http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/saizensen/20080729-OYT8T00509.htm)(http://www.teamiryou.org/)/「欧州の看護師」(http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20081119-OYT8T00193.htm)/「歯科医師の活用」(http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20081124-OYT8T00223.htm)/「院内助産師」(http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20081022-OYT8T00142.htm)(2009/07/12)

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川野 幸夫 ヤオコー会長