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「金を払うほうが当然偉い」と、思い込んでいるお客さん

【店に悪い客・ケース04】

  • 吉野 信吾,ロドリゲス 井之介

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2009年6月24日(水)

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 予想をはるかに超えた大不況。「店に来てやっているだけでも、ありがたいはずでしょ」という心情で来店するお客さんも、このご時世ですから増えているかもしれません。お店にとっては確かにありがたい話です。ですが、そういった気持ちが透けて見えてしまうと店側の気持ちも萎えてしまいます。

 「店がお客を選ぶなんて言語道断」
 「金を払う側が優位」
 「お客様は神様だ」

 と、絶対的に思い込む人がますます増えそうです。

 そして店側の人間で、この言葉を額面通りに信じている店長や責任者がいるとしたならば、それはオーナーシェフや実質的な経営者ではない人たちでしょう。すくなくとも「良いお店」の人ではなさそうです。

良いものは高い。これは基本中の基本

 「お金を払う側が偉い」と考えているお店の人間が、よしんば経営者であったならば、飲食を利潤追求のための単なる手段としてしか捉えていない、おそらく大型店や、多店舗展開をしている事業主の可能性が高いのではないでしょうか。「自分が大好きなものを提供したい」という志のもとに、料理人であれ、経営者であれ、職人気質を貫き通してクオリティの高いものを作り続けるといった気概があるならば、こういった感覚にはならないはずです。お店とお客さんは対等なのです。

 「逆じゃないか」って?
  そうではありません。

 例えば「多くの人に安くて良いものを提供したい」と語る経営者もいますが、食材には忘れてならない基本中の基本、大原則があります。

「良いものは高い」
「安すぎるものに旨いものなし」

 ということです。

 つまり絶対値からいって、高い食材の方に良質のものが多く、安いもののなかには少ない(高い安いは同じ食材の中の相対的なもの)。再度付け加えますが、納豆が安いから「まずい」といっているのではなく、同じ納豆でも、味や質の良いものはどうしても高くなる、また、高額な物の方に良い物が多い、ということです。物には相場というものがあり、「安物買いの銭失い」という言葉があるように、あまりにかけ離れた価格の物は実を伴わない、ということなのです。

 これを踏まえると、「良いものを安く」を可能にするには、どうしても大量調達・大量生産・大量消費による、コスト削減が必要になります。

 それがいい、悪いというお話ではありません。

 この連載で取り上げている、個店ベースの場合は、「良いものを安く」は、基本的にあり得ない、ということを理解していただきたいのです。もし、「良いものを安く」を実践しているお店があるならば、そこにはお店の並々ならぬ努力があるはずです。

 そして、信念を持って一店をコツコツ営んでいるお店に対して、その味や雰囲気に満足しているのであれば、また、あなたが自分の居場所としてのお店を求めているのであれば、それを提供している店の主人は決して安易に「お客が偉い」といったセリフを口にしないはずです。仮にそういうことを主張して譲らないお客が、「飲食は、お客がいてこそ成り立つサービス業」だと言い張ったとしても、「でも、その客はあんたじゃないよ」という鋭い一突きを浴びせられることでしょう。

個人経営の「うまくて安い店」はなぜ可能か?

 先ほど述べたように、基本は「良いものは高い」ということです。

「でも僕は、『この味でこの値段は安すぎて申し訳ない!』と思うような店を知っているけど?」

 その通り、そういう店も存在します。基本中の基本を覆したように見える店が実在する。それはなぜか。

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