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10年以上やってる店しかメディアに出すな

山田五郎×久住昌之 僕たちの好きな男飯【3】

  • 山田 五郎,久住 昌之

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2009年7月9日(木)

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 『純情の男飯』の山田五郎氏と『孤独のグルメ』の久住昌之氏が「僕たちの好きな男飯」を語る対談の第3回目。前回は、やたらとエッジをたてまくる店に反旗を翻したふたり。今回は、僕たちに男飯を食わせてくれる「名店」が、経営的に成り立たなくなっていく問題を分析。さらにメディアが足をひっぱっている問題もバッサリ切る。状況は不利だけど、僕たちは「男飯」を守って行かねばならない!

山田五郎(やまだ ごろう)。
1958年12月5日東京都渋谷区生まれ、大阪府豊中市で育つ。上智大学文学部在学中にオーストリア・ザルツブルク大学に1年間遊学し西洋美術史を学ぶ。卒業後、講談社に入社し「Hot-Dog PRESS」編集長、総合編纂局担当部長等を経てフリーに。現在は時計、ファッション、西洋美術、街づくりなど幅広い分野で講演、執筆活動を続けている。フライデーで連載した『純情の男飯』が上梓され、好評。
久住 昌之(くすみ まさゆき)。
1958年7月15日東京都三鷹市生まれ。漫画原作からデザインや音楽活動など幅広い活動を行うアーティストとして活躍している。『孤独のグルメ』(画・谷口ジロー 原作・久住 昌之)は超ロングランの傑作。最近「SPA!」で連載が復活した。

――この本のもとになった連載で、ずいぶんいろいろなお店に行かれたでしょうね。

山田 ほとんどは東京の、それも都心部のお店ですけどね。予算の都合で(笑)。でも、おかげで気がついたんです。最近、流行りの都心部再開発ってやつが、「男飯」の大敵であることに。再開発の問題点は他にもいっぱいあるけど、飲食店関連でいうと、第一に家賃が高くなること。

久住 高くならざるを得ないんだよね。

山田 うん、ならざるを得ない。その結果、個人営業の定食屋さんとかはやっていけなくなって、大資本のチェーン店しか入れなくなるわけですよ。

――阿佐ヶ谷(東京・杉並区)によく行くんですが、再開発が進み始めて、駅前が本当にチェーン店ばっかりに。

久住 ああ、あそこはそうだね。

再開発が食い物屋を潰す

山田 阿佐ヶ谷に限らず、再開発で建つ商業ビルは、どこに行ってもだいたい同じようなグループの店が入ってますよ。もはや都心部では、個人営業のお店は土地建物が自前の「自分んちの店」しかやっていけない。

久住 自分んちの店は安くておいしいよね。

山田 うん。でも、「自分ちのお店」も場所がいいと、再開発で地上げの餌食になる。

久住 それはそうだよな。

山田 『純情の男飯』も、できれば個人営業の安くておいしい店ばかり紹介したかったんですけど、もはやそうもいかなくて……。チェーン店や大手資本のグループ店も、何軒か入れざるをえなかった。

 食以外での再開発の問題点も、ついでに言わせて(笑)。繁華街を再開発すると、かつてそこにあったパチンコ店やゲーセンがなくなりますよね。新しくできるおしゃれなビルには入れてもらえない。

――入らないですね。

山田 風俗店とかラブホとかも。

――無理ですね。

山田 それって、一見、いいことのように思えるけど、実は逆。世間一般に「教育上よろしくない」と思われてる場所って、いわば街の「干潟」なんですよ。「干潟」って泥でぬかるんでてきれいじゃないけど、海を浄化したり生き物を育む上では絶対に必要な存在でしょ。東京湾だって、その「干潟」を埋め立てちゃったから、汚れが浄化されず溜まる一方になっていた。街も同じですよ。「よろしくない場所」をなくしておしゃれに飾り立てた巨大ビルは、人工砂浜どころかコンクリートの護岸みたいなもの。ストレスという心の汚れは浄化されず、どんどん内に溜まっていく。

――なにも生き物が寄り付けない。

久住 そうだね。

山田 文化の卵を産みつけることもできませんよ。

久住 吉祥寺なんかだって、ハモニカ横町といわれるごちゃごちゃしたところがあって、10年に1回ぐらい壊すという話が出てくるんだけど、なぜか立ち消えるんだよね。

山田 あそこは家賃、安いんでしょ?

久住 いや、高いんだよ。あそこもお寺が持っていて、家賃が実はすごい高いらしいの。あそこの中の人たちって、けっこう苦労してる。だから、頑張ってないとつぶれちゃう。実際、よくつぶれるよ。新しい店に変わってたりする。でも吉祥寺でどこが好きか、人気投票をやるとハモニカ横町が1位になっちゃう。みんなやっぱりああいうところが欲しいんだよね、ぐじゃぐじゃっとしたところが。

山田 たとえ家賃は高くても、混沌とした場所が街には絶対、必要なんだよ。

久住 再開発してきれいになっちゃうと、ダメになっちゃう。

山田 最近は再開発の波が都心の住宅街にまで押し寄せてきてて、よりひどい状況が生まれてる。俺が住んでる文京区なんて、最悪ですよ。そこらじゅうで再開発だらけ。でも、家賃は上がるけど都心部ほど客は多くないから、バランスが崩れて商売が成り立たなくなっちゃうわけ。同じ文京区で、講談社がある音羽近辺も、古くからの店はどんどんなくなって、新しい店は出来ては潰れての繰り返しでしょ。

―― 講談社担当編集I氏、いかがですか。

講談社I氏 全滅です。

山田 音羽通り沿いはこの20年間で軒並みマンションになっちゃったから。

久住 マンションの中の店になって。

山田 あるいは、先代が亡くなったりマンション化したのを機に廃業しちゃって。

世代交代できなきゃ、いい店は消える

久住 世代交代が大変というのを、しみじみ思うよね。「あのおじいちゃんが亡くなったら、この店、終わるんだな」って。

山田 今、そこにさしかかってる店、多いですよね。跡継ぎが育っているかどうかって、本当にすごく大事な問題だと思うな。

久住 大事よ。俺、若いときは、店ってずっとあるものだと思っていたけど、世代交代がなきゃ滅びるのが個人店というもの。あとは支店を出したり、拡張してまずくなるか(笑)。★第一回を参照

山田 跡継ぎ問題といえば、騒ぎにならないのが不思議なくらい深刻なのが、大阪のたこ焼きなんですよね。

久住 世代交代が?

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