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「塩欲しさに、海まで汲みに行ったことがありますよ」

渋谷・たばこと塩の博物館【後編】

  • 赤瀬川 原平,山下 裕二

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2009年6月26日(金)

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山下 たばこと塩の博物館ですからね、塩の展示も見てみましょう。

動画へのリンク
画像をクリックすると動画をご覧いただけます。(WMV形式)

赤瀬川 そうしましょう。

 子供の頃、専売ってそもそもなんだろうって思ってました。たばこの値段はほとんどが税金でしょう? 税金がなければだいぶ安いものですよね。

山下 今、ヨーロッパではたばこ1箱が1000円ぐらいしますよ。

赤瀬川 どうしてたばこが専売になったんでしょう?

山下 日露戦争の始まる少し前から専売なので、戦費調達という意味合いがあったようですよ。たばこは嗜好品だから、直接税にしたんでしょうね。吸わない人は払わなくていいんで、公平でしょう?

赤瀬川 なるほど。塩も同時に専売になったのかな?

山下 塩はもう少し後ですね。これはたばことは逆で安定供給のための、広域専売だそうです。塩が足りないと人間の生命にかかわるから、全国同じ価格で流通させる必要があったんでしょう。

学芸員の岩崎均史さん 同時期に樟脳(しょうのう)も専売にしていたんですよ。

山下 え……樟脳?

海水をバケツに汲んで、電車に乗っていました

赤瀬川 ナフタリン以外、何に使うんですか?

岩崎 一番の用途は、セルロイドの精製です。もちろん防虫剤やメントールの変わりに使ってもいました。樟脳も塩も若干ダイナマイトの製造に使いますから、きな臭い話になりますけれども、やはり戦争がらみということです。その三つが専売公社で、あと通産省でアルコールの専売をしていました。

赤瀬川 お酒ではなく、アルコールそのものですか?

岩崎 確かそうだったと思います。(*1)

赤瀬川 アルコールは飲みすぎるとフラフラになっちゃうけど、塩もね、足りないとフラフラになっちゃうんですよ。戦後は、食糧難でお腹がすいて動けないというのもあるんだけど、ある程度食べてても、塩がないと本当にヘロヘロになっちゃうんですよ。

山下 実感がありますねぇ(笑)。

赤瀬川 あの頃、日本人はみんなバスを待つときとか、道端にしゃがんでましたよね。ただお腹がすいてるだけじゃないんです。実は塩が足りなくてフラフラなの。

 僕らは市街地に住んでいたから、海までバケツを持って海水を汲みに行ってたんですよ。路面電車に乗って。あれは苦行でしたね。バケツの海水をこぼさないように持って帰るのが大変。

山下 えーー。そんなことやってたんですか?

赤瀬川 そうです。料理に使う塩を作るために、家に帰ってから鍋で海水を煮詰めてたんですよ。

山下 え!? 自宅で塩の精製をしてたんですか?

瀬戸内海の入浜式塩田の模型前にて。手書きの空が美しい。

赤瀬川 煮詰めてどろどろになったところで、もうこらえ切れずに使ってた。カリカリの塩になるまで待てないもんだから(笑)。

山下 ……(笑)。

赤瀬川 塩がないとどうしてあんなにヘロヘロになるんでしょうか。

岩崎 身体の調整ですよね。体液も血液も全部塩分で調整してるわけですから。

山下 人間にとっていかに塩が大切かを実感として知ってる人ってもうあんまりいないんじゃないですか? カリカリが待てなくてどろどろでって(笑)。貴重な証言をありがとうございます。

赤瀬川 ごみも浮いてるんだけど、箸ですくってね。子供ながらに煮詰めてだんだん塩になってきてしょっぱい味になると、嬉しかった。

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