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“草食化”する職場~偉い“社長様”の犯した罪~

2009年7月2日(木)

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 「やるだけ無駄」。そんな気持ちを抱いたことは、ないだろうか。

 どうせ評価されないから。
 どうせ手柄だけ持っていかれるから。
 どうせ変わらないから。

 「どうせ××」ならば、やるだけ無駄。費やすエネルギーに意味を見いだせなければ、やる気など起きるはずがない。

 「うちでは数年前から、評価体系を変えました。以前は年功序列だったから、長く勤めているというだけで、給料が上がっていったわけです。でも、年功序列は廃止して、様々な角度から成果で評価する制度を作ったんです」と語るのは、ある大手電機会社のトップのA氏。

 「新しい評価体系だと、生産ラインにいる人たちの給与が、人によっては10万円近く減ってしまうことになる。彼らは皆40歳以上なので、家のローンやら何やらあって、困るでしょう」とA氏は言う。

 「それで、新評価体系でも彼らの給料が増えるような制度を作った。勉強して試験を受けてもらい、生産ライン以外の仕事もしてもらおうと思いましてね。ところが、みんなその試験を受けないんです。『俺らはいい。やるだけ無駄だ』と…。なんでですかね。草食系っていうのは20代のことだけかと思ったら、40代も草食化しちゃってるんだね」

管理職になりたがらない若者たち

 また、教育関連の会社を経営するB氏は、こうぼやいていた。

 「最近困っているのが、若い奴らが管理職になりたがらないことなんです。管理職に昇進しても、残業が増えるしお客様には怒られるし、いいことない。やるだけ無駄だ、って。こんな草食系ばかりが増えたら、会社がつぶれちゃいますよ」

 草食系のウイルス(?)は、20~40代まで広がっていたのか…。

 仮に草食系ウイルスが広がったわけではないとしても、バブル崩壊後の会社のありようを見ていたら、「やるだけ無駄」という気になるのも分からなくはない。昭和の時代を支えてきた中高年がリストラされ、「平気で裏切る」会社を目の当たりにすれば、「頑張れば報われるなんてウソ。期待するだけ無駄」という気持ちも強まるだろうし、夢も希望も持てなくなる。

 それに一昔前なら、「管理職試験を受けて当たり前」と社内に敷かれていた1本のレールに乗っかって、「みんながやるから」と試験を受ければよかった。「みんなやるから」受けるだけなら、たとえ失敗しても「別にやりたくて受けたわけじゃないし、ま、いいや」と、比較的簡単に開き直ることができる。

 ところが、いろいろな生き方の許容度が増し、レールが複数本になった昨今は、「自分がやりたくて」試験を受ける必要がある。自分の意思で受けて、万が一失敗したら、「かっこ悪い。受けなきゃよかった。恥をかいただけじゃないか」などと受けたことを後悔し、自分の能力を思い知らされ、凹む。かなり凹む。

 ならば、無理してやらなくてもいいじゃない。そのまま何もしなくても、取りあえず生きていけるし、取りあえずクビにもならないからね。わざわざリスクを冒してまでチャレンジして昇進や昇給の期待が崩れ去るくらいなら、「俺だってやればできるんだ。ただやらないだけ」と期待を残しておいた方がまし。「やらない方が全然楽、やるだけ無駄」と、自己防衛に走ってもおかしくない。

 でも、である。

 A氏やB氏の会社の社員たちが、目の前にあるチャンスに向かっていこうとしないのは、本当にそれだけが理由なのだろうか?

コメント16件コメント/レビュー

「部下の成長を妬む中堅」と「それで諦めてしまったor追従することで生き残りを図る若手」ばかりの社におります(苦笑) 自分の経験から言えることは、経営者が形ばかり距離を狭めても意味がないという事。経営層が若手の成長を望んでも、結局、実務をまとめる中堅レベルに遠慮せざるを得ない→若手を積極的に起用や支援なんてできない、という図を見てきました。そしてそれで諦める若手も問題!!若手で協力して資格取得に努めよう、その為の支援を会社に求めよう、としても「下手なことして目をつけられると困るから」との人が多数。今時黙っているだけで会社にぶら下がっているなんてナンセンスと思うのですが。個人の力では具体的に変革するのが難しいとは思いますが、皆が共通の目的(や不満の改善)に向かって協力しない環境が一番の原因かもしれません。(2009/07/02)

「ストレスで成長する!~“元気力”のある“健康職場”を目指して~」のバックナンバー

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「“草食化”する職場~偉い“社長様”の犯した罪~」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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「部下の成長を妬む中堅」と「それで諦めてしまったor追従することで生き残りを図る若手」ばかりの社におります(苦笑) 自分の経験から言えることは、経営者が形ばかり距離を狭めても意味がないという事。経営層が若手の成長を望んでも、結局、実務をまとめる中堅レベルに遠慮せざるを得ない→若手を積極的に起用や支援なんてできない、という図を見てきました。そしてそれで諦める若手も問題!!若手で協力して資格取得に努めよう、その為の支援を会社に求めよう、としても「下手なことして目をつけられると困るから」との人が多数。今時黙っているだけで会社にぶら下がっているなんてナンセンスと思うのですが。個人の力では具体的に変革するのが難しいとは思いますが、皆が共通の目的(や不満の改善)に向かって協力しない環境が一番の原因かもしれません。(2009/07/02)

私は文末で言う「当の本人」に該当しますが、「やったのに無駄」を実体験してしまうと、後悔ではなく不快感(不平・不満・妬み等)しか残りません。自殺するよりマシなので、草食系へ向かう方が健全です。■私の職場では、数年前までは「資格を取れ」を連呼していました(今はほとんど言わなくなりました。[憶測はしていますが]正式な理由は不明)。多言していた頃、かなり勉強したつもりです。それまで持っていたものに加え、専門外の資格複数も含めて20個超の資格を所有する職員は、職場の中では私の知る限りトップですし、所有資格の大半は現在の職務に必要です。■資格を取れと言わなくなった時期は、私がトップではないかと気づいたころでした。その後、資格をほとんど持っていない後輩が次々出世し、肩書きも給料も私より上です。私が言えばやっかみになりますが、「能力ではなく、上に好かれているから出世した」と感じる同僚も多いと感じます(匿名で職場の不満アンケートをとれば、内容から誰に対する不満かは容易に推定できます)。これが、俗に言う情実人事でしょう。これでは組織内に頑張る人がいなくなるのは当然です。(2009/07/02)

前回のコラムと違い、とても勇気づけられました。(私は社員の側ですが)実例にもとづくコラムはとても説得力があるのですが、やはり良い例のほうが読んでいて元気になりますね。(2009/07/02)

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三品 和広 神戸大学教授