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試乗した役員全員が、「凄いなコレ~!」と降りてくる

第6回:レクサス IS F【開発者編・前編】

2009年7月9日(木)

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 先週の試乗リポートでもお伝えした通り、レクサスIS Fは“もの凄い”クルマだ。

 オラオラオラ~とヤスジ兄ぃ(故谷岡ヤスジ先生のことです。念のため)ばりに突き進む豪快無比のパワーと、それをガッチリ受け止める強力ブレーキ(初期制動には疑問アリだが……)。そしてハイテク満載の安心電子制御で、ヘボから上級者まで楽しめる優秀な足回り。「優等生」、「80点主義」、「三河の田舎侍」、と同業他社(あるいは世間一般)から好き放題に言われるあのトヨタ・・・じゃなくてレクサスが、よくぞここまでハジけ切ったクルマを作ったものである。

 かくもヤンチャなクルマはいったいどんな人の手により作られたのだろうか。IS Fの企画を通し、それを実現したお方とは、周囲に有無を言わせぬ豪腕男か、はたまた根回しに長けた寝業師か……。是非とも開発責任者にお話しを伺いたい。トヨタの広報部に問い合わせると、あぁそれなら来週ちょうど矢口が東京に来ますよと言う。IS Fチーフエンジニアの矢口幸彦氏がタイミング良く東京本社にご出張されるというのだ。打ち合わせが立て込むお忙しい中、幸運にもインタビューのお時間を頂くことができた。IS Fを作った矢口氏とはどんな方なのか。そもそもどのような思いでIS Fを作られたのか。あれだけハジけたクルマを作った方なのだから、人物も相当にハジけているのではあるまいか……。早速後楽園の並びに聳え立つトヨタ自動車東京本社を訪ねた。以下、レクサスIS F開発責任者、矢口幸彦氏のインタビューである。

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*   *   *

フェルディナント・ヤマグチ(以下F):始めまして。今日はお忙しい中お時間を頂きましてありがとうございます。

矢口チーフエンジニア(以下矢):とんでもありません。よろしくお願いします。

F:このインタビューに先立ちまして、IS Fを試乗させていただきました。18日間もタップリと。

矢:どうでしたか?

F:良かったです。凄いクルマでした。これほどもの凄いクルマを、大変失礼ですが、よく御社が作って売ることを許可したなぁ……と。クルマの性能もさることながら、そのことに驚きました。

矢口幸彦氏

矢:ウチでは役員を乗せる社内の試乗会というのが年に何回かありまして、そのときにそれまで密かに暖めていたIS Fの試作車両を持ち込んだんです。まずは役員に見てもらわなきゃ話は前に進みませんから。

F:大勢のエンジニアが、「これからこれを作りたい」というクルマを持ち込む場があるのですか? 社内コンペのようなニュアンスでしょうか。

矢:いえ。来年から売るクルマはこんなですよ、とか、開発進行中の技術はここまで来ましたよ、とか。本来はいわゆるクルマと技術のお披露目会的なニュアンスの場です。そこにレーシングエンジンを積んだ場違いなクルマを突然ボコっと持ち込みまして(笑)。

F:ボコっと(笑)。そこは自己アピールというか、自車アピールをする場でもあるわけですか。

“ボコっと”試乗会に登場

矢:それがもうまったく場違いのイレギュラー。他のクルマは皆オーソライズされていますから。我々の(持ち込んだ試作車)は本当にボコっと(笑)。

*   *   *

 ちなみにその“試作車”とは、旧型のIS(日本ではアルテッツアとして売られていた)に当時トヨタがスープラで参戦していたGT500用のエンジンを搭載した、文字通りのモンスターマシンだった。

F:IS Fも相当ムチャなクルマですが、その源流である“試作車”もまた激しそうですね。

矢:当時スープラのレース用エンジンは、TRD(トヨタの子会社であるトヨタテクノクラフトのモータースポーツ部門)で組んでいました。TRDにはレース用V8エンジンの排気量を決めるための試作ブロックが、4,5リッターから5,2リッターまでずらりと揃っていまして、その中で一番力のあるデカいのをもらって来ました。

F:それをそのまま試作車に......?

矢:(レーシングテクニックを持ち合わせない役員の皆様方が)普通に乗れなきゃ困りますから、シリンダーブロックはレース用を、ヘッドは当時のLS430(筆者注:日本で言うところの3代目セルシオですな)のを組みました。普通の市販品ですから、サーキットでブン回すと(回転数が上の方は)もう空気が足らなくて……。途中までは力があるんですけど、後半は空気が入らなくて落っこちちゃう。でもやりたいものはある程度作れるだろう、ということで始めました。

F:(矢口氏からその車の写真を見せてもらって)キレイなクルマですね。改造車には見えないな。

矢:本チャンのIS Fのようにワイドフェンダー化して、空気の排出口も設けて、内装にもそれなりに気を遣いました。普通、試作車というと機能中心の車を作るんですけれど、今回は上に認めてもらうためのクルマですから、商品として見られるレベルのような試作車をね。我々は“コンセプト検討車”と呼んでいますけれども、そういうものを作りました。

F:先ほど“突然ボコっと”、とおっしゃいましたが、外部からすると、トヨタは勝手にそのようなことができる会社ではなさそうに見えるのですが、矢口さんはどうしてそのようなイレギュラーなことができたのですか?

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「試乗した役員全員が、「凄いなコレ~!」と降りてくる」の著者

フェル

フェル(ふぇるでぃなんと・やまぐち)

コラムニスト

堅気のリーマン稼業の傍ら、細々と物書きの真似事をしております。最近は講演やらテレビ・ラジオへの出演も増えてきました。いったい本業は何なのか自分でもよく分からなくなっています。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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