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ニコニコさせるクルマじゃないと、三日で飽きられる

第7回:レクサス IS F【開発者編・後編】

2009年7月16日(木)

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 トヨタ(レクサス)の「ハジけきった」クルマ、「レクサス IS F」。チーフエンジニアの矢口幸彦氏が目指したのは、“降りてきたときにニコニコしている”クルマ、だったという。「そうしないと、三日で飽きられる」からだ。自ら18日間試乗した自分には、おもわずニヤついてしまうドライバーの気持ちがよく分かった。だが、どうやってその目標を実際にプロダクトにすることができたのだろうか。

*   *   *

ヤマグチ(以下F):ニコニコを具体的に言葉にするとどのようなことになりますか。

矢口(以下矢):間口が広くて奥行きが深い、と言い方を僕はしているのですが、スポーツカーって昔から結局は運転のうまい人しか面白くないように作られていた。じゃあ一般的ドライバーのレベルに合わせようとすると、今度はエキスパートの人が面白くないと言う。ドライブが好きでさえいれば、腕前に関係なく誰でもある程度のレベルの運転ができる。レーサーが乗っても奥行きがあり、ちゃんと遊べるクルマ。ニコニコとはそういうことです。そうしないと三日で飽きられてしまう。

矢口幸彦氏

 クルマの入り口が広ければ、お客さんはまず確かめることができる。その車を持ち続けながらどんどん運転がうまくなっていけるとか、楽しみを深くできるというためには、間口が広くて奥行きが深くなきゃいけないです。そのためにいろいろな、例えばVDIMの電子装備を使って、スポーツモードを設定して、だんだんレベルアップしながら遊んでいただけるものにしています。シフトダウンのときにブリッピングをさせるような機能も“ニコニコ成分”の一つです。

F:あのブリッピングは気持ち良かった。

矢:気持ち良いでしょう。狙い通り(笑)。さらにわざと強いトルクカーブを作って、音をガっと出したり、トランスミッションが直結になるときシフトショックを出してみたり……。

F:あれもすべて演出の一部なんですか。

矢:演出です。たとえ運転がうまくない方でも、真っすぐ直線を走っていって、ガッという音が出るだけでも、あ、面白いやと感じてくださる瞬間が必ずある。

F:それ、私のことだ(笑)

矢:いやいや(笑)。でもどんな楽しみ方でもいいから、買っていただいたお客様にはこのクルマとの付き合い方を見つけてくだされば良いと思います。まずは真っすぐ走って音を聞いて、あ、面白いなと。じゃあ今度はハンドルを切ったらどうなるんだろう。次にハンドルを切りながらパワーをかけたらどう動くんだろう。さらにハンドルを右左に切ったらどういう挙動を示すのだろう、という風にどんどん走りこんでくだされば、最後はサーキットでもガンガン走れるようになれますよ。

F:この車に乗れば、自分のドライビングテクニックも向上していきますね。

矢:そういうふうに楽しんでいただければ嬉しいです。

F:ちょっとお高いですけど、これを練習のために買ったっていいわけですね。

矢:そうですそうです(笑)。

F:最後は電子制御完全オフでズルズルやって(笑)。

(ある程度の)分かりやすさがあれば、押しつける必要はない

矢:ズルズルやっていただいてもオッケー(笑)。クルマはやはり分かりやすくないと。アレコレ説明したって時間がかかりますし、理解するのも大変ですし。

 説明って一方的なんですよ。だけど感性で受け取れる方はいろいろな受け取り方をされるわけですから、まず扉を開いてもらえればいい。そのためには、ある程度「分かりやすさ」があればいい。そこから後は、買っていただいた方が自分の感性でクルマを遊んでもらえばいい、と思います。我々が押し付けちゃいけない。

F:カタログで読むよりも、話を聞くよりも、まずは乗って走らなければ何も分かりませんからね。

矢:そう。これはファンクラブ主催のサーキット試乗会での話ですが、奥様にオネダリされて買ったIS Fの実力を今日初めて知った、と。いやヨメのクルマってこんなに凄かったのか、と。そのご主人はレーサーが運転するヨコに乗っておられたのですが、やはりニコニコされて降りて来ました。

F:IS Fにターゲット層はあるのですか。年収とか職業とかイメージしているものは。

矢:まったくそれは全然何も考えていなくて、クルマの運転が好きという方であればそれで良い、それが全てです。好きじゃない方が乗って好きになっていただいても良いし、元から好きでさらに好きになってもらったらなお良い。販売店さんと話していても、結局今までトヨタ車は嫌い、レクサス車は嫌いという方でも、これだけは見に来たという方が多いそうです。

F:トヨタが嫌いな人って結構いますよね。少し前にホンダの販売店に行ったときもそういう話になりました。

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「ニコニコさせるクルマじゃないと、三日で飽きられる」の著者

フェル

フェル(ふぇるでぃなんと・やまぐち)

コラムニスト

堅気のリーマン稼業の傍ら、細々と物書きの真似事をしております。最近は講演やらテレビ・ラジオへの出演も増えてきました。いったい本業は何なのか自分でもよく分からなくなっています。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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