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V字回復のヒントはギャルにあり!?『族の系譜学』
~「カワイイ」の来し方・行く末

  • 大塚 常好

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2009年7月15日(水)

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族の系譜学 ユース・サブカルチャーズの戦後史』 難波功士著、青弓社、2600円(税抜き)

「30~40代の男性の視聴者が最近増えているんですよ」

 NHK「東京カワイイTV」の制作担当者は教えてくれた。ギャルの流行を紹介するこの深夜番組の主な視聴者層は若い女性。ところが近ごろ、ビジネスマンがギャル受けする商品を研究するため、「ワールドビジネスサテライト」でも見るようなお仕事モードでウォッチしているらしいのである。

 最近で言えば、キャバ嬢のような小悪魔系ファッションの「アゲ嬢」や、リボンやレースが盛りだくさんの「姫ロリギャル」が話題となった。かつての「ガングロ」「ヤマンバ」のようなインパクトはないが、今も健在するギャルたち。

 赤字転落する企業が多い中、業績好調の企業のキーワードは、ギャルにあるかもしれない。最近の報道を見るとそんな気にもなってくる。

  • 〈SHIBUYA109〉の売り上げは08年度、過去最高益だった。
  • 〈ユニクロ〉も過去最高の売り上げで、今冬、新宿にガールズコンセプトショップをオープン。大ヒットの「ブラトップ」では、ギャルの所有率・枚数が図抜けている。
  • 〈ABCマート〉は今冬、ギャル御用達のムートンがバカ売れで業績好調。
  • 〈エイベックス〉はレコード業界不調の中、浜崎あゆみ、安室奈美恵、EXILEなどギャル好みのアーティストが所属しており、一人勝ち状態。

 もしかしてギャルは、世界的不況脱出の切り札なのか? 購買意欲旺盛なギャルの「本質」を知れば、商売のヒントが掴めるのか?

 そこで本書を手に取った。関西学院大学社会学部の教授がまとめた若者文化の戦後史。太陽族、暴走族、みゆき族、アンノン、シブヤ系などの「族」「系」とともにギャルの歴史や生態も、当時の雑誌や文献をひもとき分析している。

SMAP+女子高生=プリクラ大ヒット

 著者によれば、「ギャル」という言葉の歴史は意外と長く、70年代にはすでに登場している(1979年には沢田研二の「OH! ギャル」がヒット)。そして、世間に「ギャル」が一般化したのは80年代初めのころ。ただし、あくまでギャル=女子大生としてだ。これは、83年に放映開始された「オールナイトフジ」の影響が大きい。その後、一気にギャル=女子高生、にシフトするきっかけになったのが、同じくフジテレビの「夕焼けニャンニャン」(85年~)である。

 80年代後半になると、有名私大付属の女子高生の制服スカート丈が超ミニ化。コールハーンのローファー、ポロ・ラルフローレンのソックス(この後、ルーズソックスに移行)、ハンティング・ワールドのバッグとともに「ミニ」は中産階級子女のシンボルとなる。

 そんな女子高生の私服は、アメリカン・カジュアル。そして、彼女たちの中から、コギャルの前身で、チーマーの追っかけでもあったパラギャル(パラダイスギャル)が出現する。イケイケ・ボディコンにデビューする手前の、「遊び人の女子高生」である。当初、そんな侮蔑的な視線が世間から向けられたが、90年代前半~中盤、メディアは渋谷センター街を浮遊し闊歩するコギャルを中心としたギャルを盛んに取り上げた。

〈マーケッターたちは、新たな市場を求め、消費者としての女子高生とその口コミ・ネットワークの結節点である渋谷に注目していった〉

 93年当時の女子高生の三種の神器は、「バレッタ(クリップ状の留め金に飾りがついた髪飾りの一種)、ミサンガ、ルーズソックス」、90年代半ばのそれは「ポケベル、名刺、雑誌『FINE』」または、「ポケベル、システム手帳、使い捨てカメラ」だった。さらに90年代後半となると、PHS(ピッチ)、ケータイ、プリクラ、マツキヨ、日焼けサロン、厚底ブーツ、などが彼女たちだけでなく当時の世相をも象徴するモノとして次々にブレイクする。

 ギャルはその外見をマイナーチェンジしながら、この後もずっとトレンドセッター兼よき消費者であり続けるのである。

 ギャルと消費を考える上で、とりわけいいサンプルになるのが、プリクラだ。

 今では様々に進化し、高性能化しているプリクラ。正式名「プリント倶楽部」は1995年7月に発売される。当初のターゲットは若い女性や小学生、水商売の女性(名刺に写真シールを貼って営業)、生保の外交員だった。ところが、最初の3ヶ月はまったく売れなかったらしい。

 それが突然女子高生を中心に火が付いた理由とは――。当時まだ若手だったSMAPの番組の中で紹介されたことだった。さらに興味深いのは、友達と撮って交換したりコレクションする女子高生が増え始め、マスコミが「1000枚集めると幸せになれる」などと彼女たちの間で流通した噂話をレポートすることで一気に「行列のできる」ヒット商品となったことだ。

 当初のターゲットではなかった主婦、OL、サラリーマンまでが飛びつき、全国区へ。ギャル発のトレンドは、その後、日本全土を覆い、田舎のおじさん、おばさんも知るところとなる。逆に言えば、何の関心も持っていなかった「サイレント・マジョリティー」が“奇抜”な流行のフォロワーとなるモチベーションとなったのが女子高生やギャルの存在だったのだろう。

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