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部下は本当に“バカ”なのか?~上司の“バカ”の壁~

2009年7月16日(木)

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 かつてCA(客室乗務員)の世界には、「40前の駆け込み婚」という現象があった。どんなにイケイケ(古い言い方だが)でバリキャリのCAでも、40歳へのカウントダウンが始まった途端、「年貢を納める」先輩たちが多かったのだ。

 「この年になると、月1回のステーキより、毎日食べるお味噌汁が恋しくなるのよ」。…こんな名言を残して、駆け込み婚した先輩もいた。

 まだ20代だった私は、「味噌汁」の意味を考えることもなく、「うふふ、私はまだまだステーキの方が好き!」とブイブイ言わせ(これも古い言い方!)、合コンをハシゴしていた。

 時代はめぐり、アラフォーと呼ばれる年齢になった今、月1回のステーキにお目にかかることもめったになくなった。そして「40前の駆け込み婚」は、「40過ぎの言い訳婚」となり、同期たちが続々と、“言い訳しながら” 年貢を納めた。そう、彼女たちはまるで、その結婚が本意ではなかったような言い訳を並べて、結婚していったのである。

「言い訳」しながら結婚する女たち

 例えば同郷の高校時代の先輩と結婚したA子は、「もう、最高にブルー。結婚しちゃったよ。うちの母親も、なんで今さらあんな男と結婚するのって、がっかりしちゃって。でも、税金のことや年齢のことを考えたら、仕方がなくってさ。もう、あんな男と結婚したなんて、恥ずかしくて誰にも紹介したくないよ」と言い訳していた。

 5歳年下の会社員と結婚したB子は、「どうしても子供が欲しくてさ。あんな男と、この年になったから結婚したけど、あと10歳若かったら、絶対見向きもしないよ。さっさと子づくりして、子どもとの生活を送りたいわぁ」と、なんともキビシイ言い訳をしたのだった。

 彼女たちは、こちらが結婚相手のことを「イケメン? 金持ち? 何やってる人?」などと芸能レポーターのように聞きたてたわけでもないのに、

・ 決して積極的な結婚ではない
・ 相手は自分のレベルより下だ
と、「自分らしくない結婚をしてしまった」と言わんばかりに結婚相手をいやしめるのである。

 めでたいはずの結婚を、ちっともめでたくないように語る彼女たち。結婚を自ら望み、結婚相手を探し、めでたく結ばれたにもかかわらず、彼女たちはそろいもそろって、「これは本当の自分じゃないの」と言いたげだった。その言い草は、「相手がこれを聞いたら、どう思うだろう」と、相手と縁もゆかりもない私でさえ嫌な気分になってしまう、辛らつなものだったのである。

 さて、今回はアラフォー女性の結婚と本音について語ろうというわけではない。彼女たちの真意を探ったところで、たいして意味がない。そうではなく、彼女たちと同じように、自分の部下を辛らつに表現する人たちを取り上げようと思った次第だ。

 似たような“言い草”を、しばしばビジネスシーンでも目にするなぁと、彼女たちと話していて感じたのだ。

 つい先日も、「うちみたいな会社を受けにくるのは三流大学の学生だから、デキが悪いんだ」と嘆く社長にお目にかかった。

 数カ月前には、「うちみたいな零細企業に、優秀な部下はいないよ。できないコマを使うのはホントに大変なんだよ」とぼやく、某企業の部長にお目にかかった。

 彼らは、なぜか言い訳をする。彼らは自分の会社や部下を「愚」扱いし、
・ 積極的に今の会社にいるわけじゃない
・ 部下や会社は自分のレベルより下だ
と、くだんの「言い訳婚」する女性たちと同じように言い訳するのだ。

 これは、照れ隠しなのだろうか?
 いやいや、そうではないだろう。確かに、一昔前のお父さんたちは、自らの妻を「愚妻」と呼んだ。だがそれは、自分の妻を褒めたり、他人に自慢する人=非常識で恥知らずな人、という価値観があったからだ。昭和のお父さんたちは、自分の妻を「愚妻」と呼ぶことで、「奥ゆかしい、謙虚な人」を演じたのだ。

 そんな価値観は過去の遺物。どんなにひいき目に見ても、結婚相手を「愚夫」扱いする彼女たちや部下を「愚」扱いする上司たちに、「奥ゆかしさ、謙虚さ」はない。

 明らかに彼らには、自分の夫や部下を「愚」扱いし、自分と区別することで、自分をよくみせようとする“ミエ”がある。

コメント12件コメント/レビュー

このコラムは毎回興味深く読ませていただいておりますが、文章の構成など非常に上手いと思います。起承転結がきちんとしている上に、ビジネスマンへの応援歌のようなウィットに溢れた文章は読んでいて心地よさを感じます。今後も期待しています。(2009/07/20)

「ストレスで成長する!~“元気力”のある“健康職場”を目指して~」のバックナンバー

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「部下は本当に“バカ”なのか?~上司の“バカ”の壁~」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

このコラムは毎回興味深く読ませていただいておりますが、文章の構成など非常に上手いと思います。起承転結がきちんとしている上に、ビジネスマンへの応援歌のようなウィットに溢れた文章は読んでいて心地よさを感じます。今後も期待しています。(2009/07/20)

非常に参考になりました。やはり社会的承認を求める欲求を充足させることは大事ですよね。 ただ一つ、揚げ足を取るわけではないのですが、「愚妻」についてですが、ここでの「愚」は「愚かな妻」ではなくて、「愚=私」で「(愚かであるところの)私の妻」ではないでしょうか?愚という言葉は「自分」を謙遜するための言葉として用いているのではないではないかと。 本質的な側面とは若干外れた指摘ですみません。(2009/07/16)

結局、ダメな上司は自分の器より大きい部下は使えないし、分相応の仲間しかできないということではないだろうか。夫を愚者扱いする妻も、所詮、自分が夫と同類であることに気づかず、また、「言い訳」によって責任転嫁を図っているだけである。理想の相手にめぐり合えないのは、自分が理想の相手でないからである。(2009/07/16)

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