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DNA鑑定とは、DNAの一体どこを調べるのか?

ジャンク配列、STRが知る事件の真相

  • 松島 駿二郎

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2009年7月17日(金)

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 無期懲役の判決を受けた人が、DNA再鑑定で一転無罪となって釈放された(足利事件)。DNA鑑定とは、DNAの一体どこをどのように調べるのだろうか。この際DNAについて徹底的に理解しておこう。

◇   ◇   ◇

DNA』上下巻(ブルーバックス) ジェームス・D・ワトソン アンドリュー・ベリー著 青木薫訳 上巻1140円(税別) 下巻1200円(税別) 講談社刊

 人間や生物のすべての細胞の中にある遺伝子DNAが、二重らせんという構造を持っていることを突き止めたジェームス・ワトソンのDNAに関する書物である。

 DNAはヌクレオチドと呼ばれる塩基の集合であることは分かっていた。しかし、分子の集合であるため、あまりに小さすぎて肉眼では見えない。しかも、その構造は単純なものだという洞察を、ワトソンと共同研究者であるクリックが見抜いたことから大発見の物語は始まる。

DNA』上下巻 ジェームス・D・ワトソン アンドリュー・ベリー著 青木薫訳

 DNAを構成する基本要素はヌクレオチドであり、それはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4つの塩基であることは既に分かっていた。A-T、G-Cという2つの組み合わせを取ることも分かっていた。あとはパズルである。ワトソンとクリックは若かった。柔軟な発想から分子の組み合わせをいろいろ考えた。

 どちらが発想を得たのかは書いてないが、2人はほぼ同時に二重に巻いたらせん構造ならばすべてがうまく収まることに気づいた。2人は行きつけのパブ「イーグル亭」で乾杯し、「生命の神秘」を解いたことを祝った。

 まさにこの日、1953年2月28日(土曜日の朝)、生命の神秘の幕が開いたのだ。

 人類の科学史の中で3大知見を挙げるなら、(1)地動説(コペルニクスら)、(2)進化論(ダーウィンら)、(3)DNAの二重らせん(ワトソンら)となると言ってもいい。

 DNAは4つの塩基分子の連なりである。単純なものだ。しかし、その単純さの中にこそ生命の神秘への暗号が隠されていることを2人は直感的に感じ取っていた。世界中の生化学者たちが暗号解読を目指した。

 研究が進むうちにDNA鎖は3個のコドンに分かれてタンパク質製造の指令を出していることが分かってきた。さらに、DNA鎖はらせんが緩やかにほどけて、(二重鎖の一方のRNAと呼ぶ)細胞中でコドンとして働き、アミノ酸を作り(タンパク質の合成に)資することが分かってきた。われわれ人間の細胞のすべてにDNA配列があり、複雑極まりない人体を形成しているのだ。これを生命の神秘と言わずして何と言おう。

DNA指紋と呼ばれるSTRの発見

 手元にあるDNA配列をすべて、ATGCの配列に読み替えてみよう、というプロジェクトが始まった。ヒトゲノム計画といい、予算にはヒトの30億対(つい)の1対について1ドルの経費がかかると試算された(合計30億ドル)。

 米国は惜しげもなくヒトゲノム計画に資金を注ぎ込んだ。スペースシャトル6機分の費用がかかったと言う。ヒトゲノム解読は2003年4月14日に完成した。13年の科学者たちの奮闘の結果だった。

 ヒトゲノム解読で分かったことは、DNAの大部分が何の役にも立たないジャンク配列だったことだ。ところがそのジャンクの中に奇妙な配列があった。2つの塩基が、例えばCAという対を取ってみると、CAACACACAというように短い対の配列があることだった。

 現在ではこの配列はShort Tandem Repeat、頭文字を取って、STRと呼ばれている。このSTRの位置と長さは、人によって完全に固有のものなのだ。つまり、STRを調べて一致すれば同一人物、違っていれば他人ということになる。STRがDNA指紋と呼ばれるゆえんであり、このことが、冤罪を晴らすことにつながったのだ。

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