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歩き方だけでも、日本人と西洋人は大きく違う

自然体がわかるからだのメソッド~武蔵野身体研究所主宰・矢田部英正氏(前編)

2009年7月23日(木)

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 近年、ヨガやピラティスがブームになっているが、その背景には、たんに身体を鍛えるのではなく、からだの内側に目を向け働きかけていく技法への関心がありそうだ。

 からだの技法というと特別さを感じてしまうが、今回登場いただく武蔵野身体研究所の矢田部英正さんは、誰もが日常でふつうに行っている「立つ・座る・歩く」といった基本的な所作を研究している。その技法の研究成果は気持ちよく寛げる椅子や、無駄な力みなく使えるカテラリー(スプーン、フォーク、ナイフ類)の制作に反映されている。

 当たり前に思えるからだの動きがなぜ特別な技法になりえるのだろうか。そもそも、“よい姿勢”で暮らすことのメリットとはどのようなものなのか。矢田部さんに訊いた。

矢田部英正(やたべ・ひでまさ)

1967年東京生まれ。武蔵野身体研究所主宰。東京女子大学、武蔵大学で非常勤講師。筑波大学大学院修了 体育学修士。学生時代は体操競技を専門とし、全日本選手権等に出場。選手時代の姿勢訓練が嵩じて日本の伝統的な身体技法を研究する。文化女子大学大学院にて和装と身体のかかわりを研究し、国際日本文化研究センター研究員を経て博士号取得(被服環境学)。姿勢研究の一環として1999年より椅子の開発に着手。デザインレーベル「コルプス」を発足する。身体を軸とした「物づくり研究」は、椅子、服飾、建築と広い守備範囲をもつ。主な著書に『からだのメソッド~立居振舞いの技術』(バジリコ出版)、『たたずまいの美学~日本人の身体技法』(中公叢書)『椅子と日本人のからだ』(晶文社)『美しい日本の身体』(ちくま新書)など。

――先生は、立つ、座る、歩くといった基本的な動作を含む「身体技法」を研究されていますね。その成果を踏まえ、椅子やカトラリーなどを制作されています。日常的な所作は、教えられずとも誰でもできることだと思いますが、それを改めて研究することに、どういう意味があるのでしょうか?

矢田部:たしかに立ったり座ったりする動作は、誰にでもできるものです。しかし、そのあたりまえの動作は、国や民族、時代によって異なっていたりするもので、スポーツや芸事を学んだときに、自分の姿勢が歪んでいたことに、気づかされることがあります。日常の動作は、繰り返される習慣の中で、無意識の内に身につけられたもので、そこには単に個人的な癖ばかりでなく、その人の育った社会的・文化的な特徴が刻み込まれています。

 近代以降、日本は欧米の生活スタイルを受け入れるようになったわけですが、とりあえず服や靴、家具や家といった、物質文化は欧米を上回る豊かさに達しました。しかし、それらを使いこなす身体のほうはどうかというと、歩き方ひとつをとっても欧米人とは大きな違いがあります。つまり日本の風土の中で歴史的に育まれてきた身体のあり方と、現代の欧米型の都市生活との間にズレが生じてしまっている。そこに日常の動作を研究する意味があると思っています。

日常生活の要求が身体のあり方を決める

――近年、日本の伝統的な身体技法が注目されているようですね。たとえば古武術の動きを応用した「ナンバ走り」が陸上競技の選手に活用されたり、介護技術に用いられたりしていると聞きます。日本の伝統的な身体の所作の特徴とはどういうものですか?

矢田部:まず、スポーツのトレーニング理論との対比でいうと、動作を行うときに、筋肉を硬直させることをたいへん嫌う特徴があります。武芸の古い伝書などを読むと、同じパワーを発揮するのにも「力の質」というものを大事にしている。つまり筋力に頼らないで、骨盤を中心に据えて、骨格の自然な構造に従うことがよく説かれている。「コツをつかむ」という言葉も、無駄な力がぬけて、動作が洗練されたときに体感される「骨の感覚」のことを意味していたものと思われます。

 姿勢の取り方ひとつを見ても、現代の人間工学や整形医学の提唱している姿勢理論とはずいぶん考え方がちがいます。たとえば、禅の作法について書かれた文献を見ると、「背骨の弯曲」とか「骨盤の傾斜」とか、科学的な姿勢理論のキーワードに相当するものがひとつも見あたらない。「背筋をのばす」とか、「胸を張る」とかいった注意も、江戸時代以前はあまり言わなかったのではないでしょうか。

――なるほど。しかし、“正しさ”が常に変わるものならば、明治以前の日本人の姿勢がいまの社会で絶対的に正しいとは限りません。伝統的な所作には、現代の所作にない学ぶべき何かがあるということですか?

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