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40. 「わかりません。教えてください」とウェブ掲示板に書きこむ前に。

  • 千野 帽子

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2009年7月29日(水)

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 日直のボウシータです。引き続き、世に「共感」とか「理解」と言われているものの話。

 今回は「共感する」からさらに一般化して、広く「わかる」と言われている現象の話をしよう。

 「あの小説はわかる」とか「わからない」などと言う人がいる。では小説が「わかる」ということは、どういうことだろうか。

*   *   *

変身/掟の前で 他2編』 カフカ 著、丘沢静也 訳、光文社古典新訳文庫、440円(税込)

 この連載で、カフカの『変身』(『変身/掟の前で 他2編』所収)について書いた(第29回)。主人公は外回りの営業マンで、平日の朝、なんの脈絡もなくいきなり虫に変身してしまう。

 世界が説明可能なものであると思っている人や、この小説になんの興味もないのに読書感想文とかレポートを書かなければならない学生が、ウェブ上のQ&A掲示板に

「この小説はなにが言いたいんだ? だれか教えて!」

と書いているのを始終見かける。「Yahoo! 知恵袋」とか「教えて!goo」とかmixiの作家コミュニティの掲示板とか。

 主人公は虫になったままベッドにひっくり返って、あー、たりー、仕事行かなきゃ、でも行きたくねー、といったたぐいのことをぐるぐる考えている。ゴールデンウィーク明けの気分にぴったりだ、と以前この連載に書いた。『変身』にそういう「あるある」を見つけるのはもちろんアリだ(だからこの連載ではそういう内容の文章を書いた)。

 けれど、こういう理解は、『変身』をただの「あるあるネタ」にしてしまうという側面がある。大事なのはやはり本文の字面のインパクトだ。共感できるところだけを取り出してほかを捨ててしまうのは勿体ない。

枕草子』 清少納言 著、岩波文庫、840円(税込)

 もちろんただの「あるあるネタ」が文学作品にならない、というわけではない。『枕草子』はいわば1,000年前の教養あるキャリア女子の「あるあるネタ帖」に徹した文学作品だ。また『浮世風呂』はイッセー尾形や柳原可奈子のような「こういう人いるいる芸」に徹した文学作品だ。しかし『変身』は『枕草子』でも『浮世風呂』でもない。

 と書くと、「そうだ、『変身』はただのあるあるネタではなく、現代人が置かれた状況の真実を抉り出した作品なのだ」と言う人がいる。そういう話がしたいのではないよ。

 「現代人が置かれた状況の真実」。この手の物言いはむかしからあった。

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