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「理屈が欲しい、ロジックがほしい、ルールがほしい」

「マクロス・フロンティア」河森正治監督・5

  • 渡辺由美子

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2009年7月28日(火)

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(前回「ピラミッド型で『仕事が面白い』のは、頂点の人だけから読む)

―― 職場の温度を上げるために、管理しやすい均一化した人材ではなく、バラバラな個性を持つ人を集めて、好きなことを自分勝手にやってもらう。主体的に動く個人をたくさん束ねて、活気のある“生態系的”な組織や作品作りをなさっているということでしたが。

河森 でも、いろいろな個性を持つ人を集めてやるというのは、面白いんだけれども、空中分解もしやすいんですよね。ただ自由にやってもらっただけでは、船頭多くして何とやらになってしまう。

―― そうですよね。皆が「俺が俺のやり方でやる」と言い始めてしまったら、組織は機能しなくなりますね。だから、言葉にできて、紙に書くことができるような「ロジック」で管理したくなる。

河森 しかし、アニメの場合ですと、制作に関わる人数が膨大になってくるので、「一つ一つについてその都度きちんとみんなで話し合って考える」というロジックだと破綻するんです。

―― 関わる人数が多いから、物理的に無理になってしまいますね。

「紙に書ける」ロジックでコントロールしたい!

河森 それに、組織でも作品でも、ロジックだけで作っていくと、視野が狭くなって、幅が狭くなっていってしまうんですよね。それは僕の経験からそう思うのですが。

河森正治(かわもり しょうじ)
1960年、富山県生まれ。アニメーション監督、メカデザイナー。慶應義塾大学工学部在学中からデザインの仕事をはじめ、スタジオぬえに入社。82年のテレビアニメ「超時空要塞マクロス」で戦闘機がロボットに完全変形する“バルキリー”のデザインを手掛け、84年、映画「超時空要塞マクロス愛・おぼえていますか」で初監督を務める。95年にアニメーション制作会社サテライトの設立に参加。同社にて、「地球少女アルジュナ」(2001年 TV)、「マクロスゼロ」(02年OVA)、「創聖のアクエリオン」(05年TV/07年劇場版)、「マクロス・フロンティア」(08年TV)、「バスカッシュ」(09年TV)などを手がける。現在、劇場版「マクロスF」を製作中。SONYの「AIBO(ERS-220)」や日産のCMに登場した「パワード・スーツ デュアリス」のデザインも手掛けている(写真:星山 善一 以下同)

 油断していると、僕はついつい設計図を考えてしまうんですよ。元がロジック大好き人間なので(笑)。

 昔、初代「マクロス」の頃は、設計図を書いて、計画を立てて、できるだけ緻密に構成をして、そのゴールに向かっていくというロジカルな作り方をしていたつもりなんですが、そうすると、だいたい設計通りにいかないわけですね。多人数で作るから。その設計通りにいかないところが、もう嫌で嫌でしょうがなくなっちゃって。

―― コントロールできない状態は、ストレスになりますよね。

河森 ストレスになります。けれども、その大人数というコントロールの効かなさが、僕の描いた設計図を“越えて”くれた部分もあるんですね。

 それから、「マクロス」が終わって、いろんな国に取材旅行に行って、多様性があった方が面白い、むしろロジックだけによるコントロールはやめたほうがいい、という思いに繋がったんです。

―― ロジック通りに作ることを目指したけれども、ロジックを越えたところのほうが面白かったと。

紙に書いて貼っておくかわりに「最低限の手」をいれる

河森 そうですね。だから今は、「設計図」を考えるんじゃなくて、「生態系作り」を考えるんだとという。そこに気をつけています。

―― ただ、前回仰っていたことからすると、生態系的な組織では、個々人が自由な動きをするわけですが、やはりこれを束ねるのは難しそうですね。ロジックに逃げ込みたくなりそうな。

河森 やっぱりキモはフィールド、環境作りですね。最初に、みんなが勝手にやっても大丈夫なように受け皿を作るんですね。

 このフィールドは生態系なんだと考えると、「人間が手を貸さなくてもうまく機能していた時代があった」ということですよね。その前提の中で、じゃあ、「最小限の手」にしてみよう、と。

―― 最小限の手、とは何なのでしょう。

河森 自然農では、作物は勝手に育つわけだけれども、ほかに何をする必要があるかといったら、時々見に行ってあげること。見てもらえること、見ることが最低限、最小限の手という、そういうことです。

 やってみると難しいんですけどね。でも難しい中にも、サテライトで“実験”を始めた10年の間に、手探りで少しずつやり方を見つけつつあって。

―― そのひとつが、前回お話しいただいた、組織にリーダーを置かず、「ファシリテーター」(促進役)を入れることでしたね。

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