「人類の物語は、DNAのA、C、G、Tという、たった4文字(4種類の塩基)で記されています」。こう話すのは、「ジェノグラフィック・プロジェクト」を進める遺伝学者のスペンサー・ウエルズ博士です。
「人類の物語」とはいったいどういうことでしょうか?

2005年11月、アフリカ・チャドで頬の内側からDNAサンプルを採取するスペンサー・ウエルズ博士。
地球上に生命が誕生したのはいまから40億年も昔のことではないかといわれています。その後、進化と絶滅を繰り返しながら、多種多様な生き物が暮らす現在の地球に至っています。その壮大な歴史の中で、我々人類はほんのちっぽけな存在なのかもしれません。それでも、数々の苦難を乗り越えながら、この惑星のほとんど全域にその足跡を残しつつあります。
はるか昔、アフリカで暮らしていた我々人類の祖先は、ほんのひと握りの集団で旅立ち、何万年もの時を経て世界各地に定着してきました。現代人の遺伝子を調べて、その「大いなる旅」のルートを解き明かす、地球規模のプロジェクト。それが、米国ナショナル ジオグラフィック協会が2005年から地球規模で実施している「ジェノグラフィック・プロジェクト」です。

2005年11月、アフリカ・チャドでで、断食月の終わりを祝い、街から出てきた人たちを見守るスペンサー・ウエルズ博士。
プロジェクトを発案し、指揮しているのは、ナショナル ジオグラフィック協会の協会付き研究者で遺伝子学者のスペンサー・ウェルズ博士です。調査の手法は、骨や化石を発掘して検証するという、人類学の分野での一般的なやり方ではありません。地球上の各地に暮らしている現代の人間のDNAサンプルを採取して、そこに刻み込まれた情報をコンピューターで解析するというものなのです。
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