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41. ただ「わかる」だけなら、要領の問題だ。

  • 千野 帽子

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2009年8月5日(水)

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 日直のボウシータです。しつこく「理解」の話をしています。

 前々回のタイトルは「「わかる」は脳に気持ちいい。問題はそのあとだ。」というものだった。

 一昨年あたり、ビジネス書のベストセラーの書名にはやたら「脳」の字がついていたことがある。こういう世の中だと「脳に気持ちいいイコール無条件に良いこと」という風潮も出てきそうだ。その考えかたを、私はそんなに支持できない。

 脳に気持ちいいこと、というのには気持ちいい理由がある。脳障害を専門とする医師・山鳥重(あつし)が言うように、この気持ちよさは私たち人間の生物としての生存プログラムに根ざしている。

 われわれは何にでも意味を見つけたがります。どんなものでも意味がなくては落ち着きません。意味とは、とりもなおさず、わからないものをわかるようにする働きです。〔…〕意味がわからないままではわれわれの心は落ち着きません。それが生物としての自然な傾向なのです。
〔…〕
 わかる、というのは秩序を生む心の働きです。秩序が生まれると、心はわかった、という信号を出してくれます。つまり、わかったという感情です。その信号が出ると、心に快感、落ち着きが生まれます。

〔山鳥重『「わかる」とはどういうことか 認知の脳科学』〕
「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学』 山鳥重 著、ちくま新書、777円(税込)

それまで解けなかった数学や外国語の文法問題を、初めて自力で解けたとき、「腑に落ちる」という快感を私たちは感じる。それは生物学的なプログラムと無縁ではないのだ。

 しかし数学や外国語の問題集と違って、この世界には「解答篇」がない。

 たとえば前回取り上げたカフカの『変身』『変身/掟の前で 他2編』所収)で主人公が虫になったのを読んだときでもいいし、あるいは読書を離れて、たとえば勤め先で理不尽な配置転換を強いられたとき、また、別れた恋人からとつぜん連絡があったとき、さらには、選挙でどの候補者に投票すべきか迷ったとき、

「合ってるか、合ってないか」

「合ってないとしたら、どこが違うのか」

「どこを修正すれば合うのか」

を確認するために参照できるような、そんな「解答篇」は人生には存在しないのだ。

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