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世界は「メカニズム」では説明しきれない

動的平衡で考える生物学~福岡伸一・青山学院大学教授(前編)

2009年8月6日(木)

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 物事を細かく分析していけば、やがて揺らぎのない真実に行き当たる――。私たちはこうした考えを“科学的”と捉え、日常の暮らしやビジネスにおいても役立つと思っている。

 だが、細分化することと物事がわかることは、同じではないのではないか、という考えが科学界において現れてきている。分子生物学者の福岡伸一さんは新著『世界は分けてもわからない』(講談社現代新書)を先日出版したが、そのタイトルは、私たちが常識だと思っている発想こそが問題だと示唆している。

 なぜ世界を細かく分けることが理解につながらないのか。福岡さんにうかがった。

福岡伸一(ふくおか しんいち)

1959年東京生まれ。京都大学卒。ハーバード大学医学部研究員、京都大学助教授などを経て、現在、青山学院大学教授。専攻は分子生物学。著書に『世界は分けてもわからない』(講談社現代新書)『もう牛を食べても安心か』(文春新書)、『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)『動的平衡』(木楽舎)など。

――福岡先生はここ数年、精力的に書籍を執筆されています。機械論的な生命観に対する反省が共通して見受けられますが、どういう考えで書かれているのでしょうか?

福岡:人類始まって以来の問いである、「私たちが生きているとはどういうことか」について、一人の生物学者である自分がどう答えられるだろうか、と考えています。

 分子生物学の時代は、1953年にジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックがDNAの二重らせん構造を解き明かしたことで幕を開けます。この発見の重要さは、生物がみずからコピーをつくるしくみがDNAの二重らせんに過不足なく内包されていることを明らかにしたことです。

 よって分子生物学の立場からすれば、「生命とはどういうものか」という問いに対し、「自己複製するメカニズムである」と答えられるでしょう。

 しかし、ここに「メカ」という語が入っていることからわかるように、この答えには機械論的に生命を見なす考えが表れています。

 生物はミクロなパーツから成り立つ、ある種の時計仕掛けだというのが、20世紀から21世紀にかけての生物学の大きなトレンドでした。

 私は分子生物学者としてその流れで研究を進めてきましたが、問題があることに気付くようになったのです。

生命とは“流れ”そのもの

――機械論的な生命観のどこが問題だったのでしょうか?

福岡さんの著書『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』(木楽舎)

福岡:生命をミクロな機械として見なしすぎたことで、生命のもっているダイナミックな側面を見失っているのではないかと思うようになったのです。

 そこで忘れ去られていた科学者、ルドルフ・シェーンハイマーの行った実験を参照し、生命を「動的平衡」の観点から捉え直すことが大事ではないかと気付いたのです。

――「動的平衡」とは聞き慣れない言葉です。説明していただけますか?

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