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「寝させず上司」の罪はものすごく重い

転ばぬ先の睡眠学~国立精神・神経センター客員研究員・白川修一郎(後編)

2009年9月3日(木)

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前編から読む)

 前編では、日本人の7割が睡眠に不満を抱えているという話を筆頭に、満足に睡眠をとれない状態がいかに生体のリズムに影響を及ぼし、健康リスクを高めているかについて白川修一郎さんにお話いただいた。

 睡眠の諸問題の背景には、睡眠を削っても重大なこととは思わない企業の価値観や個人の現代的な生活観がありそうだ。後編では、睡眠を軽んじる価値観が高めるリスクを中心にうかがった。

白川修一郎(しらかわ しゅういちろう)

国立精神・神経センター精神保健研究所客員研究員。1949年福岡県生まれ。1977年東京都神経科学総合研究所研究員。1991年~2009年国立精神・神経センター精神保健研究所老人精神保健研究室長・精神保健研修室長・東京都神経科学総合研究所客員研究員。睡眠科学、時間生物学、大脳生理学、老人精神保健学を専門とし、編著書や監修書に『おもしろ看護・睡眠科学』(メディカ出版)、『睡眠とメンタルヘルス』(ゆまに書房)、『眠りで育つ子どもの力』(東京書籍)、『基礎講座 睡眠改善学』(ゆまに書房)、など多数。

――IT革命が喧伝された時期、ITによる労働の効率化が叫ばれていました。確かに年間総実労働は1990年の2042時間から2006年では1811時間と減少傾向にあります。その一方、厚生労働省が「サービス残業」の是正指導を行った企業数は、2004年度で1437件だったのに対して、2007年度は1728件と、増加傾向にあります。

 効率化は、不況もあいまって、いっそうの過剰労働に拍車をかけたように思います。さらに不眠不休も辞さないという労働観が睡眠を軽視する姿勢につながっているように見えます。慢性的な睡眠不足で、がんばって仕事に臨んでも、本当に労働の質的価値を高めることにつながるのでしょうか?

白川:実は、睡眠時間がその人にとっての標準より2時間不足すれば、アルコールを飲んだ際の弱度酩酊状態と同じくらいの脳の働きしか期待できないという実験結果があります。睡眠が常に不足した労働環境にあるというのは、脳が朦朧とした状態で仕事をしているのと同じことなのです。

――朝から一杯飲んだら、職場で上司に怒られもするでしょうが、寝不足は同じ身体状態でありながらも、勤勉な姿勢として評価されてしまうから不思議ですね。

白川:アメリカだと管理職が、満足に睡眠をとっているかどうか調べられます。日本のビジネスシーンでは、多くの場合、睡眠は評価の対象になっていません。

気合いもやる気もよい眠りあればこそ

白川:日本でも管理職に就く人は、睡眠によるリスクをしっかり認識する必要があります。そもそも働く中で睡眠障害になってしまうのは、職制や社員管理のシステムに問題があるのだと思います。

 相変わらず長時間労働を善しとする考えが悪影響を及ぼしていると思えてなりません。企業は具体的な成果を求めるといいながら、長時間労働を強いている。それも会社の資産や人件費を使ってですから矛盾していますね。

――社員をさっさと帰らせるほど収益率が高い。それを証明するような企業が近年、注目されていますね。

白川:長時間労働がいいという価値観は、悪徳以外のなにものでもないし、このような精神論は実質を伴わないから、組織の上層の人たちが口にしやすい。“がんばれ”と口でいうのは簡単です。

 「がんばれば何でもできる」とか「気合いが大事」とかいう精神論は、「寝ないでも死にはしない」という考えに通じます。

 けれども、そもそも身体の機能が正常で脳がしっかり覚醒してないと気合いなど入りません。気合いは脳の前頭葉が関係する問題ですから、やみくもに“がんばれ”と言われたところで、発奮できるものではありません。

――白川先生からすると、いまの日本の企業の労働環境は、死なない程度の睡眠と休みで労働者を働かせていると見えますか?

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