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45. 私たちの脳の、宿命的な欲求。

「わかる」とは、因果関係をでっち上げることである。(中)

  • 千野 帽子

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2009年9月9日(水)

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 日直のボウシータです。帰国の時差ボケが直らないまま、前回に引きつづき、「認知の枠組としての物語」について書こう。

 「物語」というのはごくふつうの言葉だけれど、文脈によっていろんな使われかたをしている。批評(文学・映画・漫画その他)、文化人類学、認知心理学、科学哲学、歴史研究など、さまざまな分野で使用されているだけでなく、批評なら批評という同じ分野でも、文脈によって論者によって、「物語」という語に背負わせる意味が違う、なんてこともある。

 で、当面のところ、私はこの文章では、「物語」をいわば認知の枠組の一種としてユルーくあつかっている。

ドン・キホーテ 前篇(1)』(全4冊)、セルバンテス 著、会田由 翻訳、ちくま文庫、1155円(税込)

 前々回、騎士道ロマンスの読みすぎで世界を騎士道ロマンス流に認知・解釈してしまう『ドン・キホーテ』の主人公のことを書いたが、彼などはさしずめ「物語脳の恐怖」の実例だろう。

 私たちは、「物語」という認知の枠組のおかげで、「安定したものの見かた」を獲得することができている。「物語」という形式(フォーマット)でものごとを認知することができなければ、人は生きていけない。

 たとえば、私たちは自分のことを、「××年に××という町で生まれて、××年に学校を出て、××年からいまの職場に勤めている」というふうに、時間のなかでの変化によって認識している。自分の素性ですら物語の形で認識せざるをえないのである。「1192作ろう鎌倉幕府」だって物語形式の情報だ。

 歴史書や新聞記事のようなノンフィクションも物語形式で書かれているし、小説や漫画や映画のようなフィクションも物語コンテンツである。虚構物語であっても、影響力が強ければ、人に生きるヒントをくれることだってある。人生の岐路に立ったとき、

「こんなとき、孔明だったら(あるいはシャアだったら)どう考えるだろう」

などと、過去に知った物語を参照する人もいるのではないだろうか。

 このように、物語はものの見かたを安定させてくれるけれども、ときにはそれが私たちを、「考える」ことから遠ざけて、ただの思考のショートカットとして働いてしまうこともある。ちょっと気を抜くと私もドンキばりの「物語脳」になってしまっている。

 私たちが世界を「物語」的に認知・解釈してしまうのは、私たちの脳にとってごく自然なことだ。しかし、それが「自然」であるからといって、「よい」ことであるとは限らない。これは、第43回に書いた私たちの、「書いてないことまで読んでしまう癖」と同じである。

*   *   *

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