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ボケる男、真理を悟る!? 『えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経』
~ないない尽くしの果ての「ガンバッテー」

2009年9月9日(水)

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えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経』 笑い飯 哲夫著、ヨシモトブックス、1238円(税抜き)

 Wボケのスタイルで毎年M-1グランプリ上位入賞を果たしている「笑い飯」。メンバーのひとり哲夫の日課は写経だという。趣味が高じて、般若心経を解説・全訳したのが本書だ。

 哲夫は、幼少の頃から般若心経に魅力を感じ、研究してきたという。

〈命日におっさん(評者注:お坊さん)が来てお経あげてはりました。それを子供の時から月一回見てきました。ずっと、それどういうことやねん、先祖に何を言うとんねん、また、死んだ人らに向かってどういう意味のこと言うとんねん、と思っていました〉

 般若心経の解説本は「あほほど出ています」という状況だが、「哲夫訳」の新味は、「えてこでもわかる」にあるといえるだろう。

 「えてこ」とは、関西ではサルを指す。つまり、サルでもわかるように般若心経をわかりやすく説いている。著者の意をそう早合点しそうになるのだが、サルでもわかるとは意味深長な言葉だ。

“サルでもわかる”を深読みすると

 サルは文字や人間の言語を理解しない。そのサルに向けて、仏法を諭すとは、悟りを目指すよりも難しいではないか。

 むろん“サルでもわかる”など譬えに過ぎないと承知しているが、著者が般若心経の一字一句に疑問を抱いたように、評者も「それどういうことやねん」と、“サルでもわかる”ことにこだわってみたい。

 そもそもサルが仏法を理解する必要があるのかといえば、たぶんない。サルには人間のように文字や言語を通じ、目前にあるもの以外を思い描き、欲望を逞しくすることに喜びを覚える煩悩がない。

 仏教では畜生道という概念があって、動物的な振る舞いから離脱することを勧めているではないかというむきもあろうが、動物は動物的な振る舞いを意図的に行わない。そうなると畜生道とは、動物のように見える人間を戒めるための概念であることがわかる。

 つまり、畜生道に落ちた人間の罪とは、自分の生きている世界に自足しきっていられる自堕落さにあるだろう。

 だから「えてこでもわかる」とは、文章を読めない人びとに向けたという意味ではない。評者が思うに、本書は現実だと思って安閑としている暮らしが、実は「だめな妄想」に支配された世界であり、それを見抜けずに自足しきり、「絶対的真理への到達」を目指さないすべての人間に向けたものだ。

 「だめな妄想」とは、煩悩と言い換えていいだろう。般若心経は〈この世の中がどうなっているかということが分かり、煩悩から解放されている〉といった、「絶対的真理」というもっともリアルな教えを説いている。

 煩悩から解放されるには、何が煩悩かを知る必要がある。だが疑いもしない常識がすでに煩悩であれば、その識別すら難しい。そのため本書は、「うんこ」という平易で理解しやすい例を多用し、「屁めちゃ出るみたいな要領」で般若心経を訳していこうとする。

 それにしても何か苦があるから人間は煩い、悩むのか。それとも煩い、悩むから苦が生まれるのか。おそらくそのどちらでもある。ならば煩悩から脱するには、苦の発生のプロセスを知る必要がある。

 般若心経は「五蘊皆空 度一切苦厄(ごおんかいくう どいっさいくやく)」と説く。「五蘊」とは色・受・想・行・識といった世界を構成する要素のことだが、著者の理解にかかれば、こう説明される。

 色とは認識できる存在すべてであり、目に見えない〈屁のにおい、屁の音、さつまいもの味、さつまいもを焼いた時の温度〉から〈うんこがブリブリ出た場合のブリブリという音〉も含む。

「受」とは〈うんこという物体を人が見た時、あっうんこだ、と感受すること〉。

「想」とは、〈感受されたうんこが、脳の中にイメージとして蓄積されていたうんこと一致〉すること。

「行」とは、公園に落ちてある汚いスポンジ状のものを触ったとき、それがうんこだと理解され、「手を離さなければ」と意思すること。

 最後に「識」とは公園にあるような汚いスポンジ状のものは、「乾いた犬のうんこなんだ」と知ること。

 五蘊によって経験を構築していくことを人は疑いもしないが、般若心経は五蘊が「皆空」。つまり「みんなない」といい、実体がないことを理解して初めて「一切苦厄から解放」されるという。

 つまり「五蘊皆空 度一切苦厄」とは、〈この世の認識できるものすべて、感受、イメージ、意思、知識という五つの要素はみんな実体がない、ということがちゃんと分かって、すべての苦しみから解放〉されるということだ。

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