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エコノミストは予想屋ではない!?

「これから10年、外国為替はこう動く」

  • 本田 敬吉

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2009年9月15日(火)

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 世間にはエコノミストや経済学者に対する深い誤解があるようだ。「専門家なんだから、経済や金融の先行きが正しく予想できるはずだ。そうでなければ本当の専門家とも科学とも呼べない」。そして「期待を裏切られた」と嘆いたり、非難したりしている。

 日経ビジネスオンラインでも経済学者の飯田泰之氏が「サブプライム問題による金融危機を予想できたか否か、という評価方法自体が、経済学を根本的に誤解している証拠でしょう。エコノミストは予想屋ではありません」と述べ、経済・金融問題に対して合理的な処方箋を提示することが経済学の本分だと説いている(「経済学っぽく行こう」2009年8月28日)。

 ところが、飯田氏の主張に反発するコメントがいくつも寄せられている。どうやらこれは根の深い偏見のようだ。

 世間の誤解や偏見も需要のうちだから、「これから10年、外国為替はこう動く」と本書がややキャッチーなタイトルを掲げているのは、出版社の気持ちとしてはよく分かる。ところが、この本のユニークな点は、そうした誤解に基づいた期待を冒頭の序文「相場を予想するという矛盾に満ちた営み」で木っ端みじんにしてしまうことだ。

 共著の執筆者らは、日経ビジネスオンライン「ニュースを斬る」で毎度ユニークで切れ味の良い議論を楽しませてくれる竹中正治氏(龍谷大学教授)と同氏が務めていた財団法人・国際通貨研究所の同僚研究者ら計5名である。

相場予想のパラドックス

これから10年、外国為替はこう動く』国際通貨研究所編、竹中正治編、PHP研究所、2009年9月

 序文冒頭で著者(竹中)は軽妙なたとえ話でこう説明する。「気象庁が明日の天気を予想するように、『為替相場予想庁』が『明日のドル円相場はドル相場5%の下落確率が80%』と予報すれば、どうなるだろうか? 誰も明日までドルを売るのを待たずに今日売るだろう。ドルを買う人は、今日は買わずに明日買うだろう。その結果、ドル相場は今日下がり、明日は下がらず、逆に急騰する」。

 つまり、世間で正しいと信じられている予想ほど最終的には外れる。そして、「このパラドックスを理解できない人は相場現象を永遠に理解できない」と、とどめを刺す。

 その後、著者は「高金利通貨に投資すれば低金利の円よりも長期的には高い投資リターンをあげられる」「日本は少子高齢化で低成長だから円安になる」など、過去数年にわたって日本の個人投資家などがとらわれてきた言説を「事実に基づいた最小限の検証もしていないトンデモ論である」と一刀両断にする。反証として筆者が掲げるデータと説明は、平明で論理的だ。

 筆者はこうした批判を後講釈で語っているのではない。その証拠に円安の勢いが最盛期にあった2006年に出版した別の著書で円安ブームの劇的な終焉を予想していたことを示している。幸か不幸か、その時の著書は大ヒットにはならなかったので、世間で広く信じられることもなく、予想は的中した。

繰り返される相場パターンの逆を行く

 筆者の為替相場に対する基本戦略はシンプルである。為替相場は長期的には通貨の購買力で決定される。しかし、市場参加者は完全には合理的ではないので、しばしば名目の金利格差に誘引された高金利通貨ブームが起こり、高金利通貨の相場が購買力平価の水準から大きく乖離して上昇する。その局面は分割して売っておきなさいという。反対にブームが破裂して暴落したら、分割して買っておく。これだけだ。

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