• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

カネだけ出しても見返りはない~『国連安保理と日本』
白川 義和著(評:加藤 亨延)

中公新書ラクレ、740円(税別)

  • 加藤 亨延

バックナンバー

2009年9月16日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

評者の読了時間1時間20分

国連安保理と日本』 白川 義和著、中公新書ラクレ、740円(税別)

 北朝鮮の核問題やスーダンのダルフール紛争などの報道で、「安保理(国際連合安全保障理事会)」という言葉を耳にする機会も多いだろう。しかし「安保理とは何か?」と問われたとき、すらすらと説明できる人は少ないのではないか。

 安保理とは、国際社会の平和と安全の維持を目的とした、国連における事実上の意思決定機関である。そのメンバーは米・英・露・仏・中の5常任理事国と、国連総会で選出された10の非常任理事国で構成されている。

 わが国においても、与党・野党問わず、国会では国連が決めた事柄に対して、どこまで日本が協力するべきかという問題が、しばしば議題に挙がる。

 なかには、「国連決議に基づく活動であれば違憲にならないので認めるべきだと」との意見もあるが、国連担当記者として4年間にわたり〈安保理理事国間の政治的妥協や思惑で、理想的とはいえない決定が下される場面を何度も見てきた〉著者に言わせれば、これは「ずいぶん乱暴な議論」だという。なぜなら国連安保理の決定には、国家間のエゴが見え隠れする理不尽なものが多いからだ。

 現在国連には主義主張の異なる192カ国が加盟しており、安保理の常任理事国は拒否権まで持っている。そのような状況で容易に国際問題が解決できるはずがない。

 国連とは、常に最適な判断を下してくれる機関ではなく、各国の国益がぶつかる最前線である。その中心をなす安保理への正しい理解なしでは、よりよい外交戦略は描けない。

 本書は、安保理のメカニズムを解説することを通し、日本の今後の国連外交のあり方に様々な提案を試みたものだ。

 著者はまず、安保理というものは“参加することに意義がある”と訴える。

いつまでも国連のATMではいけない

 国連の安保理には、日々様々な案件が上ってくる。外交は情報量がものをいう。現在、日本は安保理内、非常任理事国のひとつ(任期は2010年まで)だ。重要な国際問題の多くにふれられる安保理のメンバーでいることは、日本外交にとって計り知れない恩恵をもたらしてくれる。

〈安保理の議論を聞いているだけでも各国の「本音」をつかむことができる。紛争に関する国連事務局の現地情報も刻々と入ってくる。安保理のほとんどが密室での非公開協議だ。2003年のイラク戦争開戦時には、米英と仏中露が対立を続けるなか、非公開協議の中身をつかもうと、日本を含む各国の外交官が国連の中を走り回った〉

 日本は非常任理事国の任期が終われば、再び選出されない限り安保理へは参加できない。これは、常に安保理に参加できる5常任理事国と比べて、情報量という面で大きなハンディキャップとなっている。

 一方で、日本は資金面で大きな負担を課せられている。

 そのような状況で、日本が影響力を保ちつつ巧みに立ち振る舞うには、どうすればよいのか? 本書でも参考にされている『国連の政治力学』で、元国連次席大使の北岡伸一氏は《日本の選択肢は、黙って資金を出し続けるか、資金を出し、かつ発言する(評者注:常任理事国入りをする)かである》と述べている。

 しばしば日本の国連外交は、金は出すが口は出せない「現金自動支払機外交」と揶揄される。したがって日本は“発言できる国”を目指すべきだが、その対応は決して満足のいくものではない。

 2005年に日本はドイツ・インド・ブラジルとともにG4として常任理事国入りを目指していたが、失敗に終わり、それ以降目立った行動を起こしていない。ここに至るまで、国連総会の安保理改革作業部会で15年に及ぶ歳月を費やしてきたにもかかわらず、である。現在でも安保理改革の政府間交渉は細々と続いているとはいえ、これでは、日本は「安保理改革の熱意を失った」と思われてしまう。

 また、そもそも日本の強みであった資金面も脆弱になりつつある。

コメント0

「NBO新書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の未来は、男性と同じ程度、女性のリーダーが作っていくものだと確信している。

ビル・エモット 英エコノミスト誌元編集長