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「理想」の株価が暴落、閉塞感の中で北極星は輝く

資本主義の中で生き抜くためのツールとして 池上彰×的場昭弘【後編】

  • 的場 昭弘,池上 彰

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2009年9月28日(月)

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 前編では、マルクス読者の世代交代に始まり、マルクス研究者の取ってきたスタンス、『資本論』の魅力などについて語っていただきました。的場先生の「危なくないマルクス経済学なんて、いったい何の役に立つの」とか、池上さんが説くマルクス経済学の隠れた効用とか、横で聞いている私も「なるほど」の連続でした。

 後編では、マルクスの労働観、社会主義国崩壊の真因、マルクスの生かし方など、話題は縦横無尽に広がっていきます。どうぞお楽しみください。(フリー編集者 斎藤)

前編から読む)

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池上 すごい皮肉な話なんですが、十数年前に、慶応大学のマルクス経済学のゼミの卒業生は就職がとてもいいという話を聞いたんです。どうしてかというと、みんな非常に問題意識を持っているから。採用面接をやると、ほとんどの学生は現代の社会について何も考えてない。ところが、マルクス経済学をやっている学生は、社会問題をよく考えていて、その結果、就職率も非常にいい。そう聞かされて、マルクスにご利益があるという話でもあるんだけど、うーん、それってどうなのよと。

的場 私たちの頃の慶応経済も、そうでしたよね。

池上 いいところに行ったんですよ、みんな。

的場 逆に、優秀な人が来ていたとも言えるんですけど。

池上 なるほど。

的場 いや、自分のことを説明しているんじゃないですよ。

池上 我田引水ですか(笑)。

 【プロフィール】

池上 彰(いけがみ・あきら)
1950年長野県生まれ。慶応義塾大学卒業後、1973年NHK入局。1994年よりNHK「週刊こどもニュース」でお父さん役として出演。2005年3月にNHKを退社し、現在はフリージャーナリストとして活躍。著書に『わかりやすく〈伝える〉技術』(講談社現代新書)、『高校生からわかる「資本論」』(集英社)、『14歳からの世界金融危機。』(マガジンハウス)など多数。

的場昭弘(まとば・あきひろ)
1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、一橋大学社会科学古典資料センター助手、東京造形大学助教授を経て、現在、神奈川大学経済学部教授。経済学博士。著書に『とっさのマルクス』(幻冬舎)、『もうひとつの世界がやってくる』(世界書院)、『超訳「資本論」』(祥伝社新書、全3巻)など多数。

的場 機を見るに敏なんですよ。ですから光輝いていたから来たんだけど、日が陰ると同時にすっといなくなったということでもあるわけです。

池上 私の周りはみんな当時、光輝いていた銀行に入りましたから。無惨に消えてしまった銀行もありますが……。

喜びでもあり、苦痛でもある「労働」

『とっさのマルクス』(的場昭弘・幻冬舎)

――マルクス主義というと、「悪しき資本家を打倒せよ」みたいな教条的なイメージでとらえられがちですよね。

的場 当たり前の話ですけど、原典をひもとけば、「資本家=悪」とか、そんな単純な話はしてないんですね。マルクスは、資本主義には表と裏があることがよくわかっていて、その両方を描くために葛藤していた。こっちとも言えるし、あっちとも言える。そうやって行ったり来たりを繰り返す。一番典型的なところは労働がそうなんですよ。

池上 ボロボロにこき使われる労働者を描く一方で、「一人ひとりが孤立して働くよりも、みんなで一緒に働いたほうが、やる気も出るし働く喜びも得られる」ということを書いていますよね。

的場 労働しているから、毎日嫌々ながらも、人と話をしたりコミュニケーションを取るんです。だから労働はある程度必要なんですよ。その一方で、マルクスは労働が価値をもたなくなる世界を展望していたりもする。

 あるいは『経済学・哲学草稿』でも、労働は能動的な喜びでもあり、受動的な苦痛でもあると言う。こういう一見、矛盾したような語り方がマルクスにはたくさんあります。

『とっさのマルクス』(的場昭弘・幻冬舎)
画像のクリックで拡大表示

池上 なるほど。そういう資本主義が抱える矛盾の負の側面が、現在、一気に噴出しているわけですよね。

的場 ええ。

東側の崩壊は「高利貸しからの借金」が原因

池上 歴史的に見れば、ソ連がばらばらになり、東ドイツが西ドイツに吸収合併され、社会主義が次々と崩壊していった。あれはいわゆるソ連型の社会主義が勝手にこけたのであって、資本主義が勝ったわけじゃないのにもかかわらず、みんな資本主義が勝ったんだ、歴史は終わったんだと思い込んじゃっていますよね。

的場 なぜソビエトや東欧があんなに簡単に崩壊したんですかとよく聞かれるんですが、いや、簡単に崩壊するわけがないんです(笑)。

池上 そりゃそうだ。

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