• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

47. ジンクスは「物語」から生まれ、占いは「一般論」から生まれる。

  • 千野 帽子

バックナンバー

2009年9月30日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 日直のボウシータです。今週は長野県飯田市から、相変わらず「わか(った気にな)る」の話を続けてお送りします。

 前回まで、「物語」の形をしているものは「わか(った気にな)り」やすい、という話をしてきた。前回はとくに、ジェラール・ジュネットとロラン・バルトが書いたものを参考にしつつ、「物語」的な認知の一特徴を指摘した。

 すなわち、私たちは世界を「物語」的に認知するときに、「前後関係」を「因果関係」と混同してしまいがちである、という話だった。人間にはf1のあとにf2が起こったら、ついf1のゆえにf2が起こったというふうに考えてしまう癖があるのだ。

 私たちは縁起担ぎなどの場で、こういうことをしょっちゅうやっている。

 江夏豊が重要な役割を果たすベストセラー『博士の愛した数式』の作者・小川洋子は、親の代からの阪神タイガースファンだ。少女期の家族団欒の思い出を、小川さんはつぎのように回想している。

例えば、正座している時に田淵が逆転ホームランを打ったりすると、彼〔小川さんの弟さん〕はその運が逃げないようにずっと正座している。ピンチになると、「さっき田淵がホームラン打った時の姿勢になって!」と、みんなに命令する。トイレに立つ時は、試合の状況を見て弟に許可を得る必要がある。〔「家族団欒の図」『妖精が舞い下りる夜』所収、角川文庫〕

 また、我が家の約束事として、希望的予測を口に出してはいけない、というのがあった。例えば二点差で負けていて、ランナーが二人出てバッター田淵、という場面なら、誰でも期待することはただ一つだ。でもそれを口に出してはいけない。言ってしまったら最後、もうツキが逃げてしまう。と、弟は信じていた。ところが、ビールを飲んでほろ酔いの父は、つい口を滑らせてしまうのだ。
「ここで一発出たら逆転じゃ(岡山弁)」
その直後、田淵が凡退でもしようものなら、弟は本気になって、
「お父さんがそんなこと言うからじゃ(岡山弁)」
と怒りまくることになる。〔「私の阪神カレンダー」同上〕

私は特定球団のファンではないし、けっして縁起担ぎをするほうでもないが、それでも小川さんの弟さんの祈るような気持ちは、わかってしまうのだ。

博士の愛した数式』小川洋子 著、新潮文庫、460円(税込)
妖精が舞い下りる夜』小川洋子 著、角川文庫、540円(税込)

コメント10

「毎日が日直。「働く大人」の文学ガイド」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人々が働きたいという会社になるには 「働きやすさ」と「働きがい」、この2つが必要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長