「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」

「時間、カネ、ヒトの余裕」は、組織と仕事を腐らせる

第14回:日産 GT-R【開発者編】その3

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2009年10月16日(金)

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(前回「『説明できる商品』では、世界なんて狙えない!」から読む)

 あ痛てててて……。

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 いやぁ酷い目に遭いました。実は先週出場した銚子マリーナ国際トライアスロンのバイクセクションで接触転倒してしまい、肩鎖関節を脱臼してしまったのです。靱帯が三本とも断裂する文字通りの“重症”で、左半身の皮膚は肩から臀部に欠けてボロボロに擦り剥けています。しかし事故報告をした編集部から帰ってきたメールは……。

「フェルディナント様
 そりゃ災難でしたね。ご愁傷様。
 で、右腕ですか左腕ですか。
 仮に右腕でも締め切りは変わりませんから(笑)」

 これだけです。

 何ですか、「ご愁傷様」って。まだ死んでいません。
 どういう事ですか、(笑)って。いったい日経BP社は私の事を何だと……。
 いや、失礼。見苦しい楽屋裏を晒してしまいました。クルマには何の関係も無いことです。では早速、張り切って参りましょう!

捨てられる部分がない、困った困った

 と、その前に今までの流れを整理しておきましょう。ご存じの通り、当「走りながら考える」は、一台のクルマを三段階に分けて「しゃぶり尽くす」ことを旨としています。それはこんな風になっています。

1:試乗インプレッション
2:開発者インタビュー
3:総括

 基本的に記事の更新は毎週木曜日。今週は通院治療の関係で一日遅れてしまいましたが、私がサボらない限りは、読者諸兄に対して3週間に一台のペースで新しいクルマをご紹介出来る流れであります。メーカー各社からご提供いただくクルマは、最低でも一週間はお借りしているので、このペースをきっちりと守ってさえいれば、私としても3週間に一台ずつ新しいクルマに乗って遊び回……もとい。腰を据えた評論が展開できるというものです。だがしかし、今回のGT-Rは水野氏のインタビューだけで早くも3週目。これじゃいつまでたっても他のクルマに移ることが出来ない。つまり他のクルマで遊びに出掛けられない。

 でもインタビューをいくら読み返しても“捨てられる部分”が無いのですよ。どこを読んでもヤバくて面白い。それでいてビシっと筋が通っている。テープ起こしの原文をそのまま掲載したいくらいの勢いなのですが、それでは私の役目が無くなってしまう。どこを削ってどこを残すか。そうした上で水野氏の魅力をどこまで読者諸兄にお伝えできるか。ここは腕の見せ所、という所なのであります。

 ではでは、今回で(たぶん)最終回の水野氏インタビュー。気合いを入れて参りましょう。
 あ痛ててて。力むと肩がイタイ……。

*   *   *

フェルディナント(以下 F):以前、水野さんと葉山でお話しさせていただいた時に、すごく印象に残っているエピソードがあるんです。GT-Rの開発は通常の半分くらいの人数でやった。少人数で、相互に信頼し合っているから、水野さんのハンコなんかも必要なときは自分の判断で押させていた。結構な金額の決済でもそうだった、と。

水野(以下 水):あ、今でもそうだよ。もちろん内容の確認はするけれど、ハンコは必要な時に必要なヤツが俺のハンコを勝手に自分で押すんだ。自分で俺のハンコを使って押したら、自分の決めたことなんだから必ず守るはず。人間ってそういうものでしょう。

精鋭揃いの開発チームをどう選んだか

F:部下のことを本当に信頼しておられるのですね。そんな精鋭ぞろいのGT-Rの開発チームは、どういう基準で選考されれたのですか。

水:そんなもん。ハンパもんの寄せ集めですよ。

F:キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!  

……えーと、あのですね。社員の中から水野さんの眼鏡に適った人材を一本釣りで引き抜いてきた、とかそういう事ではないのですか?

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著者プロフィール

フェルディナント・ヤマグチ

フェルディナント・ヤマグチです。皆様と同じようにビジネスの最前線で仕事をする傍ら、アチコチの雑誌で連載を持っています。つまりクルマ業界に接してはいますが、本業ではない。首まで浸かっていない故、かえってギョーカイのシガラミや仕来りを超越して、好き勝手なことを書き倒すことが出来る微妙且つナイスなポジションに立っています。もちろん皆様と同じように昔からクルマが大好きで、学生時代はかなり無理をして懸命にクルマを購入したクチでして、一番最初に買ったのは、初代RX-7でした。最後は青山墓地の前で追突され大破してしまいましたが、あれは良いクルマでした。本業はかなり堅い会社で管理職を務めるリーマン稼業なものですから、顔出しNG&ペンネームで失礼いたします。や、そう警戒なさらないで下さい。決して怪しい者ではございませんので。



このコラムについて

フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える

 この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつかりました。どうぞよろしくお願いします。
 なに、“考える”と言ってもそれほど大袈裟なことではありません。クルマはこれからどうなって行くのか。現在売り出されているクルマは何を考え、何を目指して開発されたのか。実際にクルマに乗り、開発者に会ってお話を伺い、販売現場からの声にも耳を傾ける……。ビジネスはビジネスとして事実をしっかりと捉まえた上で、もうちょっとこう明るく楽しくクルマを味わって行こう、というのがこの「走りながら考える」の企画意図です。

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