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「たらい回し」は医師のせいじゃない

  • 木村 憲洋

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2009年10月20日(火)

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 「たらい回し」は医師のせい?に対する、たくさんの投票とコメントありがとうございました。

 今回のテーマについては、日経メディカルオンライン(NMO)と日経ビジネスオンライン(NBO)で、ほとんど同じ投票結果となりました。NMOでは「Yes」が4%で「No」が96%、NBOでは「Yes」が8%で「No」が92%です。

 大淀病院事件(2006年8月、奈良県大淀町立大淀病院で分娩中に意識不明になった妊婦が、移送を要請した県内外の18病院から次々と受け入れを断られた末に、大阪府内の病院で帝王切開により男児を出産した後、脳内出血で死亡)より以降、「たらい回し」という言葉がメディアで頻繁に使われるようになり、救急問題の責任は多分に医師にあるというニュアンスで “医師叩き”が激化しました。

 ただ、コメントや投票結果を見る限り、最近では救急崩壊の背景に対する国民的な認識もだいぶ進み、冷静な議論ができるようになってきた印象を受けます。

 現状の救急問題は、必ずしも医師にその責任があるのではないという共通認識が広まりつつあるようです。高齢化の進展による救急患者の増加、軽症患者の増加、医師の偏在、医療費抑制策といった要因の影響が大きいと考えられ、この点に関しては、投稿意見を見る限り、大きな異論はないように思われました。

メディアによる医師バッシングも大きな要因

 また、コメントでは、特に医師側から、以下の点も無視できないという指摘が複数寄せられました。

(1)メディアの報道姿勢(医師バッシング)

(2)患者の意識の変化(モラルの低下)

(3)医療訴訟の増加(刑事事件化など司法の“暴走”)

 上記の3点は、相互に深く関連しています。「バッシング報道の過熱で医療不信が高まり、医療過誤で起訴されるリスクも増した。救急医療自体が医師にとって非常にハイリスクになったうえ、クレーマー患者も増え、その対応に燃え尽きた多くの医師が救急医療の現場から去った」。関連する投稿コメントを要約すると、こうした内容になります。

 医療訴訟の件数は2004年をピークに減少傾向にありますが、それでも10年前の1.5倍の数で、依然として高い水準にあります。メディアの報道姿勢がきっかけとなった医師患者関係の悪化が、救急問題に暗い影を落としているのは確かでしょう。また、患者のモラルの低下を憂うとともに、「軽症患者の受け入れは制限すべき」といったコメントも複数寄せられました。実際、医療機関側では、受診制限の動きがじわじわと広がりつつあります。

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