日直のチノボーシカです。
今年の小説出版界は、発行部数を見れば村上春樹ひとり勝ちのようなありさまだ。ただ新作がベストセラーであるだけでなく、内外の文芸ジャーナリズムがこの作家を「大家」として遇していることはわかる。
しかしそのいっぽうで、文学の歴史には、現役文学者として活躍中はそれほど話題にならなかった書き手が、引退後もしくは死後に株が急上昇し、大文学者として祀り上げられた、というケースも多い。『地獄の季節』(『ランボー全詩集
日本では宮澤賢治がこの枠。いまでこそなかば神格化されているが、生前は詩集一冊と童話集一冊を出した、ちょっと変わった地方文学者、くらいの位置づけだったようだ。
こういうばあい、よく言われるのが、
「宮澤賢治は生まれるのが早すぎた」
といったようなこと。あるいは、
「作家の同時代人の目は流行によって眩まされているが、歴史によってノイズが洗い流され、後世の人間には『真価』が見える」
などといったことを言う人も多い。
ほんとうにそうなのだろうか?
* * *
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。











