
プロ野球は大丈夫だろうか。
私は心配している。
クライマックスシリーズは、一向に盛り上がらぬまま、アンチクライマックスの形で終結してしまった。
さびしい。
日本シリーズはせめて盛り上がってほしいのだが。
野村解任騒動が世間の注目を集めて、それがパ・リーグのクライマックスシリーズに貴重なサブストーリーを提供するはずだ……と思っていた私の観測は、どうやら当てが外れた。
このあたりからして、例年のストーブリーグとは話が違ってきている。
ほんの数年前までは、監督の座をめぐる綱引きは、野球ファンの大好物だった。
新聞が火をつけて、週刊誌が追随して、テレビが騒げば、職場の話題は、野球中心で花盛りになるはずだった。
が、現状はそうなっていない。
野村氏を中心とするこの度の解任騒動は、観客動員に貢献してもいなければ、視聴率にも反映していない。
おもしろがっているのは一部のマニアだけだ。
一般の野球ファンは、むしろ忌避感を抱いている。
「またかよ」
と。
非野球ファンは、騒動の存在すら知らない。
で、あのボヤキ屋のおじさんがゴネてるみたいだよ――というネガティブな印象だけが広がっている。非常によくない状況だ。
そもそも、「野村解任」という言い方自体、正確な表現ではない。
スジ論から言って、この度の事態は、「任期満了」であるに過ぎない。契約上の雇用期間が終了しただけの話だからだ。円満退社。揉める要素はどこにも無い。
球団の側に契約を更新する意思がなかったことは、どうやら事実だ。が、それをもって「解任」と言うことはできない。
「契約延長拒否」と言えばそれぐらいの言い方はできるかもしれないが、別に延長が既定路線だったわけでもないし、延長が正義である理由もないわけで、それ以前に、球団は、拒否すらしていないのである。普通の契約切れ。学生さんの卒業と同じ。オートマチックな終了スイッチ。前から決まっていたこと。それだけの話だ。
なのに、スポーツ新聞各紙は「解雇」「解任」という言葉を使って、本件を事件扱いにしようとしている。
ヘンだと思う。
任期満了は解任とは違う。卒業が退学でないのと同じ。それぐらいのことはわかっているはずではないか。
どうしてこんな騒ぎが起こっているのかというと、野村監督自身が「解任された」と騒いでいるからだ。
野村さんの立場からすれば、ご本人は、6位→4位→5位と下位に沈んでいたチームを2位にまで引き上げた功労者ということになる。とすれば、クライマックスシリーズ主催の権利をもたらした監督である自分には、次のシーズンの就任依頼があってしかるべきだ、と、野村さんがそう考えること自体は、まったく無理だとは言えない。
それどころか一見、もっともな主張であるようにも聞こえる。
もうひとつ、野村さんは、以下のような話もしている。
最終的に就任を打診するつもりがないのだとしても、チームが日本シリーズ進出をかけて戦っているこの時期に、現職の監督である自分を差し置いて、次期監督探しを展開するのは、失礼にあたるのではないのか、と。
これも、スジとしてはわからないでもない。
しかし、だ。
チームが沈んでいた時の監督は、ほかならぬ野村さんだ。
だからこそ、昨年のシーズンオフ、その3年契約の3年目が終わるに当たって、野村さんは、監督の職を退くことが濃厚だと言われていたわけだ。
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