最近、「ソーシャル」や「社会的」といった言葉を耳にする機会が増えてきた、と、感じる人は少なくないかもしれない。確かに、「社会起業家」「ソーシャルベンチャー」といった言葉がさまざまな場面で引き合いに出され、社会起業家を扱った本が書店で平積みになる光景も見かけるようになったのがここ数年の傾向だ。
しかし、いざ一人のビジネスパーソンが、こうした「社会的」「ソーシャル」なことに関わろうと思うと、意外と選択肢は限られている。勉強会のような場に出かけて知識を養うか、ビジネススクールや起業塾のような場所に通って本気で社会起業家を目指すか、はたまた、気になるNPOを見つけてボランティアとして飛び込んでいくといった方法などが思い浮かぶかもしれない。
こうした選択肢の中に、もう1つ、有力な方法として提案したいキーワード、それが、この連載のテーマである“プロボノ”である。
社会貢献をするための“現実的”な手法
“プロボノ”とは、社会人が、仕事を通じて培った知識やスキル、経験やノウハウなどを活かして社会貢献することを意味する。
“プロボノ”とは、ラテン語でPro Bono Publico(公共善のために)を略した言葉で、欧米のホワイトカラーにとってはごく一般的に使われている言葉だ。特に、弁護士や会計士、コンサルタントなどが、「月に数時間」「年間で数日」といった時間を決めて、NPOの法律や会計、経営の相談などを無償で行うことがオーソドックスな“プロボノ”のイメージである。
だが、こうした職種に限らず、営業、調査、企画、総務、人事、広報、IT・システムなど、幅広い分野で活躍する多様なビジネスパーソンに向けて、“プロボノ”の考え方は適用可能なものである。仕事で培ったスキルは、すべからく、NPOなどの社会貢献活動にも活かすことができるエッセンスを含んでいるのだ。
“プロボノ”は、社会人が、仕事を続けながら、いまの会社に所属しながら、自分の時間の一部を効率的に活用して社会貢献に役立てるきわめて現実的な手法である。
しかも、“プロボノ”は、ただひたすら社会のために“奉仕”するばかりではない。むしろ、自身の仕事へのポジティブなフィードバックをも期待できる点については、この連載を通じて詳しく紹介していきたい。
「社会的」「ソーシャル」なことに関心を持ち始めたいまの日本社会。そこで活躍する、多くのビジネスパーソンにとって、「社会的」なことと関わる、新しい選択肢。それが、“プロボノ”だ。
ボランティア、NPO、そして、社会起業家への流れ
“プロボノ”について議論する前提として、そもそも「ソーシャル」という言葉に限らず、そもそも「ボランティア」や「NPO」など、社会的な活動にまつわる言葉や制度自体、ここ十数年間に急速な発展を遂げながら現在に至っている。
そこで、まずは、現在の立ち位置を確認する意味で、少しだけ過去を振り返るところからスタートしてみたい。
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特定非営利活動法人 サービスグラント 代表理事






