「東京オトナの修学旅行 赤瀬川原平×山下裕二」

「どうだ」と言わないオトナの美術館

品川編・その2 原美術館

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2009年11月13日(金)

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山下 品川駅から坂を上がった閑静な住宅街に原美術館があります。

赤瀬川 駅前は国道で車がビュンビュン走っているけど、このあたりまで来るとかなり静かですね。ここは原さんがやっている私立美術館ですよね?

贅沢なエントランス。鬱蒼と繁る木々の奥にひっそりと控えめに原美術館が佇んでいる。泰山木や楠などは、できた当時に植えられた木々だろうか……。
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山下 ええ、館長の原俊夫さんが1979年に開設して、現代美術を中心に展示している美術館です。今日は、館長室広報の松浦彩さんに建物を案内していただきながら話を伺います。

赤瀬川 まず、ここは建物がいいですよ。なんとも言えず上品というか……。

山下 とても趣味がよくて、贅沢な建物だと思います。この建物を造ったのは、館長の原さんの先代ですか?

松浦 いえ、祖父の原邦造(注1)が昭和13年に造った家です。

山下 赤瀬川さんとほぼ同世代ですよ(笑)。

赤瀬川 あ、ホントだ。僕よりひとつ下ですねぇ。その頃にこの家を個人で……。

この趣味の良さをなんと言おうか

山下 もう少し後だったら戦争に向かう時期になるから、これだけの家を造るのは難しかったでしょうね。設計したのは誰ですか?

松浦 渡辺仁という建築家です。銀座の和光(旧服部時計店)や上野の東京国立博物館本館も設計した方です。

山下 え、あの東京国立博物館の本館造った人が、こんなにモダンな家を造ったんですか?びっくりですね。全然スタイルが違う……。

赤瀬川 あのドーンとした建物とこの瀟洒な建物と同じ人とはねぇ。でもまぁ、仕事ですからねぇ(笑)。

山下 バウハウスとか知ってはいたでしょうね。

松浦 当時、この敷地には日本家屋が建っていて、それが大きくて暗かったので、原邦造の奥様が、明るくてコンパクトな洋風の家をと望まれてこの家ができたと聞いています。

山下 これがコンパクト!?

赤瀬川 うーん、すごい。それにしてもこの建物の良さは何と言えばいいのかなぁ。

1930年代のヨーロッパモダニスム建築を取り入れた建物。
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著者プロフィール

赤瀬川 原平(あかせがわ・げんぺい)

赤瀬川 原平1937年生まれ。前衛芸術家にして芥川賞作家。路上観察学会長老。著書に『もったいない話です』他

山下 裕二(やました・ゆうじ)

山下 裕二1958年生まれ。明治学院大学教授。専門は室町時代の水墨画だが、広く日本美術全般にエールを送る。著書に『岡本太郎宣言』『日本美術の二〇世紀』他。

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