前回のコラムはいかがだったでしょうか? 「シナジー」というコンセプトから、会社との共生という発想を持って本を書くことによるキャリアアップを提案しました。これは、学歴や会社でのポジションに関係なく始められる戦略です。
「自分には書くことがない」とか、「ウチは会社に認めてもらえない」など、自分自身に照らし合わせてみると、いろいろなお考えがあると思いますが、今回は、ビジネスパーソンが本を書くと具体的に何が変わるのか、について私の経験を中心にお話します(ビジネスパーソンが出版するにあたってのハードルの乗り越え方は、第5回で取り上げる予定です)。
私は、5年前の2004年に初めて『内藤忍の資産設計塾』という本を出版しました。これは、自由国民社の長岡さんという熱心な編集者との出逢いがあったからです。幸いこの最初の作品が好評で、今年11月にも『預金じゃイヤだけど投資はコワい ボクの“負けない”人生戦略』(光文社)と『60歳で1億円つくる術』(幻冬舎新書)の2冊を出版、と年に3〜5冊のペースで本を出せるようになりました。

(幻冬舎新書)
このように本を出すようになって感じたことは2つあります。1つは、本は書くだけでは割に合わないこと、そしてもう1つは、本業へのフィードバックを考えればこれほど効率的なキャリアアップの方法は無いということ、です。
原稿料の時給はマクドナルドのアルバイト以下
本を書いているというと、決まってこう言われます。
「印税生活でウハウハですね」
何がウハウハなのか分かりませんが、少なくとも本を書くのは、それ自体極めて割の悪い仕事です。1冊の本を書くには取材・打ち合わせ・執筆・校正など膨大な時間がかかります。時給で計算するとマクドナルドでアルバイトしている方が良いかもしれません。
例えば、1冊800円の新書を出版したとします。印税率10%で初版8000部としても収入は64万円です。10万部を超えるようなベストセラーを量産できる人であれば別ですが、1冊の出版で得られる収入はほとんどの場合せいぜい数十万円。取材費、税金なども含めれば本の印税だけで生活するというのは、極めて難しいことが分かります。
しかも、本は1回1回が勝負。今回売れても次の本が売れるとは限りません。数年経つとブームが去って声さえかからない可能性もあります。
つまり出版は単体で考えれば、労力の割にリターンが低くリスクが高い仕事です。税金を払い忘れるくらい本が売れているビジネスパーソンは、日本にはほんの数人しかいません。
ヤドカリイソギンチャクが理想
しかしそんな効率の悪い仕事も、シナジーを考えれば一転して魅力的な仕事になります。出版を目的ではなく、本業へのフィードバックの手段として考えるのです。
本を書くという「『本』業」と自分の仕事である「本業」の相互フィードバックによって1+1を2より大きくできる。これが本を書く最大のメリットだと思います。

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マネックス・ユニバーシティ社長。1986年、東京大学経済学部卒業。91年、米MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA=経営学修士=)。 住友信託銀行、シュローダー投信投資顧問、マネックス証券などを経て2005年11月より現職。 「日経マネー」などの雑誌での連載コラムやテレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍。 また早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学をはじめとするマネーセミナーや講演活動も行う。 主な著書に10万部を超えるベストセラーとなった『

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