(前回「『トヨタ』じゃなくて『プリウス』ブランドを作っちゃえば?」から読む)
プリウスが売れています。
何をいまさら言いやがる、と思われましょうが、ともかく怒濤の勢いで売れていて、その勢いは止まるところを知りません。
あまりの売れっぷりに、市場からは怨嗟も含めたさまざまな声が聞こえてきます。
親しくしている私の友人は、神奈川県横浜市の某販売店に出掛けた際、「大変無礼な扱いを受けた」と憤慨しています。
「いくら待っても店員は出てこない。やっと出てきたと思ったら、あんたが買わんでも客はナンボでもおるわいっていう横柄な態度なんだ。何の営業努力をしなくても、店で待ってりゃボンボン売れるものだから、あいつら奢っていやがるのさ。もうプリウスなんか買うもんか!」
と、それはもう大変な怒りようです。
実態はどうなのでしょうか。友人だけの特殊事情なのか、はたまたホントに販売店は奢っているのか……。考えていても仕方がないから、実際にお店に出掛けてみましょう。
お店への距離までウェブで表示
トヨタのホームページは実に良く出来ていて、希望の車種と自宅の住所を入力して検索すると、家から近い販売店を地図上に表示してくれる仕組みになっています。調べてみると、自宅から僅か600mの場所にネッツ店がありました(自宅からの距離も表示されるのです!)。プリウスは人気車種なので、レクサスを除くトヨタ車販売4系列の、どのお店でも買うことができます。今回は「家から近い」というただそれだけの理由でネッツ店を選びました。では早速。プリウス総集編として販売店潜入レポートをお届けします。
連休最終日の11月23日月曜日。都内某所のネッツ店に出かけた。時間は午後2時ちょうど。駐車スペースには販促用のペラジャンを来た若い販売員が2名。直立不動で待ち構えている。私が入場するのを確認するや、すかさずクルマに駆け寄ってきた。
「いらっしゃいませ!どうぞこちらへ!おクルマお預かりします!」
あれれ?感じ良いじゃん。友人の話とだいぶ違うなぁ……。
店内へ入ると店長のバッジを付けた男性が揉み手をしながらにこやかに出迎えて下さった。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは。今日はプリウスを見に来たのですが」
「は、かしこまりました。では早速、担当の者をお呼びさせていただきます」
“お呼びさせていただきます”ってのは敬語としてどうなのよという気もするのだが、ともかく歓待してくれていることは間違いない。
席に着くと、ほどなく担当の営業マンがやってきた。そして私の前に跪き、神前にお供物でも捧げるように、恭しく名刺を差し出した。
「いらっしゃいませ。販売の○○と申します。よろしくお願いいたします」
えらく丁寧なので恐縮してしまう。
「あ、こちらこそよろしくお願いします。今日はプリウスのお話を伺いに来たのですが……」
「は、プリウスでございますね。そりゃもう良いクルマですよ。お陰様で大変な人気を頂いておりまして、ウチといたしましてももう嬉しい悲鳴を……。試乗はなさいますか? 試乗車はあちらです。ちょうど空いていますから、スグにご試乗いただけます」
折角だが広報からお預かりした車両で試乗は既に存分にさせていただいている。しかしこの場ではあくまでも“一般客”を装わねばならない。潜入取材なんてバレたら、取り囲まれて袋叩きに……なんて事はさすがに無いだろうが、現場のホンネを聞き出せなくなる恐れがある。
跪いて「カタログをご覧ください」
「先週ゴルフの帰りに友達のプリウスを運転させてもらいました。ですから試乗は結構です。少しクルマの話を聞かせて下さい」
あ〜。俺ってウソツキ……。何でこう口からデマカセが平気で言えるのだろう。少し心が痛んだが、何も知らないセールスマン氏はにこやかに頷いてくれる。
「なんなりと、ハイ。こちらがカタログ。これは価格表です」
この間、彼は私の前で跪いたままである。まるでJALのファーストクラスのようだ(あそこはファーストクラスに乗ると、事ある毎にCA嬢が跪いて対応するのだ。サンフラン行きのフライトで、何かの間違いで紛れ込んだ際、大いに面食らったものだ)。
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