「PRO BONO(プロボノ)」

【最終回】日本人の働き方を変える、“大人のための社会科見学”の場

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2009年12月10日(木)

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 仕事を通じて培ったスキルを生かしたボランティアであり、社会貢献のもう1つの新しいスタイルとも言える「プロボノ」。

 プロボノは、従来のボランティアに対するイメージの幅を広げ、社会人が自らのスキルを生かして社会参画することで、より大きなインパクトをNPOなどの社会貢献セクターに与えながら、同時に、自身のスキルを客観視したり、仕事に対する意識を深めたりする可能性がある。

仕事でもない、趣味でもない、第3の活動場所

 プロボノの最大の特徴は、営業、企画、広報、宣伝、総務、人事など、どんな職種の人であっても、そのポジションで培った仕事のスキルと経験を生かして社会貢献できる、という点だ。転職をするわけでも、ましてや、起業(社会起業)をするわけでもなく、かといって、日ごろ慣れないことをするわけでもなく、自らの日々の仕事をそのまま活かしてできる社会貢献の方法、それがプロボノなのである。

 連載を通じて、たびたびプロボノを経験した人の声を紹介してきたが、また別の経験者は、プロボノを「仕事でもない、趣味でもない、第3の活動場所」と呼んでいる。

 「仕事で得るような達成感と、趣味で得るような楽しさの両方が得られる充実感は、今までにないものでした。また、仕事や私生活では縁のないクライアントを担当することで視野が広がったとともに、他のチームメンバーからは、“こんな考え方、進め方があるのか!”とよい刺激を受けました」(30代・女性/ライター)

 通常、ボランティアというと、仕事とは別の世界で取り組むものと思われがちだ。そこが、プロボノの場合、参加する人の多くが、ボランティアとして(つまり社外活動として)参加しているにもかかわらず、結果的に、仕事に対する何らかのフィードバックやインスピレーションを持ち帰っているという点は興味深い。

 それにしても、なぜこのようなリアクションが生み出されるのだろうか。

 それは、プロボノを通じて支援する対象が他ならぬNPOなどの社会貢献活動であるということと、実は密接に結び付いている。

NPOのテーマは“分母の大きい分数”

 昨今、NPOに関する報道や記事を見かけることも多くなり、NPOに関して一通りの知識を持っていたり、具体的なNPO団体を知っている人も増えてきた。

 しかしながら、実際にNPOがどのように運営されているのかについて、詳しく知っているという人はきわめて少ない。また、それと同様にNPOで働く人がどういう人で、NPOに関わる人がどういう意識や価値観かといった、血の通った情報になると、なかなか一般の多くの人はリアリティを持ち合わせていないというのが標準的なところだろう。

 NPOという組織について馴染みがないのに加えて、実は、NPOが取り組むテーマそのものについても、馴染みがある可能性が低い。というのも、NPOが取り組んでいるテーマというのは、いわゆる、“ふつう”の人が、“ふつう”に暮らしていたら、あまり関係がないことかもしれないからだ。

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著者プロフィール

嵯峨 生馬(さが・いくま)

嵯峨 生馬特定非営利活動法人 サービスグラント 代表理事
1974年、神奈川生まれ。98年 東京大学教養学部卒業後、日本総合研究所に勤務。地域通貨、NPO、地域活性化をはじめ、インターネット、ICカード、ポイントプログラムなどのプロジェクトに従事。2001年、東京・渋谷を拠点とする地域通貨「アースデイマネー」の設立に参画し、2002年にNPO法人化、2003年より同代表理事。2005年、日本総合研究所を退職。同年、ビジネスやデザインなどの専門スキルを活かしてNPOを支援する“プロボノ”の仕組み「サービスグラント」を開始。250人以上のスキル・ボランティアを集め、5年間で延べ32団体のNPOに対してホームページ・パンフレット等の成果物提供をコーディネイト。2009年にNPO法人化し代表理事に就任。去る12月5日(土)に、ラフォーレミュージアム原宿で「プロボノフォーラム〜2010年は“プロボノ”元年」を開催。



このコラムについて

PRO BONO(プロボノ)

仕事で培った専門スキルを活かしたボランティアを“プロボノ”といいます。プロボノは、社会的な課題解決に取り組むNPOに対して、貴重な力になるだけでなく、そこに関わるボランティアをする側にとっても、さまざまな発見やスキルアップ、ネットワーキングの機会などを提供するものです。近年、社会起業家などへの関心が高まりを見せ、ソーシャルなことに関わってみたいという人にとって、“プロボノ”は社会とのつながりをつくる具体的で現実的なアプローチです。このコラムでは、まだ日本ではなじみのない“プロボノ”の考え方を紹介し、2010年に向けた、ビジネスパーソンの新しい働き方やライフスタイルを提案します。

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