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漂民に学ぶグローバル社会の泳ぎ方『江戸時代のロビンソン』
~海洋民族の論理を取り戻せ!

  • 大塚 常好

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2009年12月16日(水)

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江戸時代のロビンソン 七つの漂流譚』 岩尾龍太郎著、新潮文庫、476円(税抜き)

「死の恐怖 暗闘90時間」

 今年10月、新聞1面にこんな見出しが踊った。

 八丈島沖で漁船が強い横波を受け転覆・遭難した報道はまだ記憶に新しい。金目鯛の漁を終えた第一幸福丸が下田港へ帰る途中のアクシデント。

 船内で寝ていた3人の船員は、逆さまになった床板をはがし、床の裏側に上る。鉄骨に床板を渡し直して、体を寄せ合い、仰向けになった。

 外は台風のしけ、船が激しく揺れ続けた。いつ沈没するかもしれない。いつ息ができなくなるかもしれない。会話はほとんどなく、「生きているか」と時折、声をかけるだけだ。

 転覆から4日目、空腹と喉の渇きが極限に達した頃、海上保安本部の潜水士が船底を「コンコン」と叩く音が船内に響いた――(残り4人の船員の行方は不明だ)。

仏教の殺生戒を守ってサバイバル!?

 鎖国下の江戸時代には、この第一幸福丸より悪条件の海難事故に遭って漂流しながらも、旺盛な生命力で、奇跡の生還を果たした船乗りたちがいた。

 本書は、「ロビンソン・クルーソー」研究で知られる著者(西南学院大学教授)が、彼らの肉声が載せられた原著・資料を読み解き、それら漂流譚から七人を選んだもの。その壮絶なサバイバルぶりは、もう、本当に想像を絶する。

 生きる世界は異なるが、現代のビジネスマンにとっては、船乗りの「心技体」に学ぶべきことは枚挙にいとまがない。

 東京からおよそ580km、八丈島と小笠原諸島の中間に鳥島がある(現在、東京都に属し、無人島)。江戸時代、この活火山島に多くの船が漂着した。

 全体が溶岩でできた不毛の島だが、冬になると無数のアホウドリが群棲する。かつては100万羽もおり、人が簡単に捉えて、食料や衣類や寝具にすることができた。

 このことが長期のサバイバルを可能にしたらしい。

 1696(元禄9)年に漂着したのは、鹿児島・志布志浦の5人の船乗り。鹿児島の藩米を江戸に運ぶなどしていたが、雷雲をともなった大西風により遭難した。制御不能となって漂うこと54日。なんとか鳥島にたどりついた。

 そのまま息絶えてもおかしくないが、この薩摩民には驚くべきサバイバル・スキルがあった。

〈彼らはまず橋舟に雨を貯水し、新鮮な水はすすきの芽から得た。海水を煮て蒸留水を採ることも試みている。ポルトガル人が伝えたランビキ技術である〉

 では、食料はどう調達したのか。

 魚釣りのほかは、島を探索して食料を探したのだが、この時の段取りが実に賢い。

 溶岩質の鋭い岩場を歩き回るため、最初に芭蕉の皮で靴を作る。さらに船の欄板(かきいた)で梯子を作成。船の帆布を裁断して編んだ袋の中に、木の上のグミを採取した。荒波にもまれた船の材料を、絶妙なアイデア力で再利用したのである。

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