前回まで、本を書くために必要な3つの力をお話してきました。後は、皆さんが本を書くという意思を持って、実際に行動すれば目標は実現できる、という話になるのかもしれませんが、ビジネスパーソンの出版にはもう1つハードルがあります。それは会社に本を書くことをどうやって認めてもらうか、です。
今回は、出版が現実になった時の会社との付き合い方を考えます。私の周りには、ビジネスパーソンとして本を書いている人がたくさんいますが、会社との関係は人によって様々です。
会社とどのように交渉していくべきかは、これから説明していきますが、まず皆さんに申し上げたいのは、会社に隠れて本をコソコソ書くのはやめよう、ということです。
第1回目に書いたようにビジネスパーソンが本を書くのは、飽くまで本業とのシナジーによって会社に貢献し、それによってキャリアアップと自己成長を同時に実現させることが目的です。隠れて本を書くのは、1人で2つのことを別にやろうというのと同じで、それでは本業も執筆も中途半端になってしまう可能性があるからです。
なぜ会社は副業を禁止するのか?
まず、自分の会社の就業規則を調べてみましょう。副業に関しての記載が出ているかもしれません。実は、就業規則というのは法律ではなく、あくまでも1つの組織における決め事です。
本を書く社員の側から言えば、「本業をきちんとやったうえで、業務時間以外に自分の好きなことをしても自由なはず」と思うかもしれませんが、たとえ明文化された規則がなくても、多くの企業においては暗黙のうちに制約を受けるのが通常だと思います。
しかし、経営サイドから見れば、副業禁止規定の一番の目的は機密情報漏洩の防止にあると考えられます。書籍を社外に発表することで、社内の重要なノウハウが流出したり、最悪の場合、個人情報の漏えいやインサイダー取引といった法律に触れるような不祥事が発生してしまうと、会社と社員双方に大きなダメージを与えてしまうのです。
ビジネスパーソンが本を書く場合、まずその本が会社に対してダメージを与えるリスクのないものであることを明確にすべきです。
会社は社員の社外活動が自社にとってメリットがあれば、本来禁止する理由はありません。商社に勤務しながら芥川賞を受賞した方が話題になりましたが、本業と関係のないエリアであってもその位インパクトがあれば、話題になることで会社にとっては広告宣伝費をかけるのと同じようなメリットがあります。
しかし、最初に皆さんが本を書こうとするなら自分の仕事に役立つ本を出すべきだと思います。それは会社に対してメリットを与えやすく、自分と会社の共生関係を築くことができる可能性があるからです。
実際にビジネスをしながら、執筆を行い、それが本業に大きなメリットをもたらした例は最近でもたくさんあります。
例えば、ライフネット生命の岩瀬大輔さんが書いた『生命保険のカラクリ』(文藝春秋)は日本の保険について分かりやすく解説した書籍ですが、読者の中にはこの本によってネット生命の存在に気づき、ライフネット生命の加入に至ったケースがたくさんあるようです。
また、途上国からブランドを作る、というミッションでバッグなどの商品を製造販売するマザーハウスの山口絵理子さんは、『裸でも生きる』(講談社)で自らの体験を綴り、それが商品に大きなストーリー性を与えることに成功しています。
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マネックス・ユニバーシティ社長。1986年、東京大学経済学部卒業。91年、米MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA=経営学修士=)。 住友信託銀行、シュローダー投信投資顧問、マネックス証券などを経て2005年11月より現職。 「日経マネー」などの雑誌での連載コラムやテレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍。 また早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学をはじめとするマネーセミナーや講演活動も行う。 主な著書に10万部を超えるベストセラーとなった『







